ゴルフ場レストランについて

元ゴルフ場支配人の独り言

ここではゴルフ場レストランについて考察しています。
一般のレストランとの違いは何か?ゴルフ場はゴルフを楽しむ場所、果たしてレストランは必要なのか?なぜ、ほとんどのゴルフ場にはレストランがあるのか?
これらの疑問に対して説明していきます。

目次

ゴルフ場レストランの特徴

まずは、ゴルフ場レストランの特徴について考えてみましょう。
一般的な飲食店との違いは、

専門店ではないという事

そして、営業努力が一般のそれと比べるとさほど必要ではないという事。
それゆえに、メリットとデメリットがあります。

メリット

メリットとしては専門店ではないがゆえに、

どんなメニューを提供できるという自由度です。

和食、洋食、中華、ラーメン店などの数多くの種類の飲食店が私たちの周りには存在しますが、どのお店に行っても、ある程度、専門的な料理に偏っているように思われます。寿司屋でカレーを、ラーメン屋でフレンチを期待する人はほとんどいないと思います。

私たちは飲食店に行く前に、自分が食べたい目的のジャンルがあってお店には行くものでしょう

ゴルフ場のレストランにはその専門性がありません。
かたよりがないというべきでしょうか?
いろんなジャンルのメニューを提供する事ができます。
もちろん、料理長の得意分野や、若い頃の修行していたジャンルにこだわるところはありますが、基本的にお客様の声に合わせてリクエストを聞いて、新メニューを開発したりしています。
作り手からすると自由度が高く、創作意欲を湧き立てる職場環境だと言えるでしょう。

お客様からすると、ジャンルにこだわらないレパートリー豊かな食事が楽しめるというメリットがあります

デメリット

一方でデメリットもあります。
デメリットは、ゴルフ場で食事をするときの特性によるものです。
ゴルフ場での食事はプレーの前半と後半との限られた時間に済ませなければならず、オーダーを受けてから提供するまでの時間は平均7分、食事をする時間は40分から1時間くらいなものです。
ゆえに、

作る方も食べる方も早く出来上がって早く食べられるものが良いのです。

そこに量や質を求めるのは難しい事なのかもしれません。
また、

材料原価や人件費も利益重視の観点から抑えられているところが多く、一般の飲食店に比べると満足度は低いと言えるでしょう。

しかし、ゴルフ場で食べる食事は美味しいものです。
それはおそらく雰囲気でしょう。
好きなゴルフを楽しんで、綺麗なコースの景色を観ながら食べる食事は格別なものです。
お酒でも入った時にはもう、気分も最高になります。
そんな、

日常とは違う、開放的な食事が楽しめるのもゴルフ場レストランの特徴といえますね。

メニューに関して

さて、ここで先ほど言いましたゴルフ場ならではの特徴的なメニューについて話しておきましょう。

専門店ではないので、調理長やスタッフのアイデアからジャンルにとらわれないバラエティ豊かなメニューが生まれます。

カレー、うどん、そば、ラーメンなどの定番メニュー。
パスタ、サンドイッチなどの女性に人気のライトメニュー。
小鉢のついたお盆の上にまとまる定食メニュー。
ステーキ、ハンバーグ、ビーフシチュー、などのガッツリメニュー。

 

などなど、ゴルフ場の規模にもよりますが、週や月替わりで様々なメニューが登場します。
これらのメニューはゴルフ場側で決めることもあれば、メンバーや常連客からのリクエストで登場することもあります。

大切なのはバランスです。

一つのジャンルにかたよったり、高単価メニューなどに偏ったりしては、多様なニーズに応える事が出来ません。

メニューを決定する会議や試食会などではお客様にいかに楽しんでもらえるかを考えながら議論が進みます。

サービスに関して

ゴルフ場レストランでのサービスについて話しておきましょう。

1番大切なことはスピードです。

プレーとプレーとの間で食事をするのですから、限られた時間内に対応する必要があります。
そして、オーダー順に食事を提供するのは勿論、私が1番気にかけていたのは、

同じ組で提供する食事は同時に出すということです。

ゴルフ場レストランでは一般的に4人掛けのテーブルがメインで、その4人にはパワーバランスが存在する事が多いのです。
例えば、同じ会社の上司と部下が同じテーブルに座っていた場合、部下のメニューを先に配膳してしまうと、上司のメニューが配膳されないうちはなかなか箸をつける事が出来ません。
上司は必ずと言っていいほど、「温かいうちにどうぞ!」とは言ってくれますが、部下は遠慮してしまうものです。
また、上司のメニューが先に配膳されて部下のメニューが後に配膳されると、時には上司が食べ終わった後に、上司の話を聞きながら食べるのも気が引けたりするものです。
ですので、

同じテーブルには全員の分を同時に配膳するようにレストランスタッフには徹底していたものでした。

また、ゴルフ場レストランでは、スタッフからの声掛けも大切なサービスとなります。

前半のプレーが終わった段階で、「今日の調子はどうですか?」とかのゴルフ場ならではの会話や「おすすめはトンカツ定食ですよ」とかの気の利いた会話を笑顔で交わすだけで食事が楽しくなります

食材原価について

さて、ここでゴルフ場における材料原価についてお話ししておきましょう
これは、あくまでも私の経験から話す事ですが、

一般的な飲食店と比べるとゴルフ場レストランでの材料原価は低いと言えるでしょう。

そこには競争原理が比較的薄い事が影響しています。
ゴルフ場レストランでは黙っていてもお客様は食事をしに来ます。
一般的な飲食店に必要な営業努力が必要ないからです。
もうひとつ。
プレー代に食事代が含まれている料金形態では、いわば

 

食事はサービス」

という認識もあります。
レストランが外注である場合とそうでない場合とでも異なってきますが、一般的にゴルフ場での食事における材料原価は決して高いものではありません。
しかし、

それゆえにゴルフ場レストランの調理人は比較的安い材料単価で美味しくお客様に喜ばれるものを提供しようと日々努力をしている事も忘れてはいけません。

現場では、支配人から「もっと美味いもの作れないかなぁ?」と言われた調理人が「もっと良い食材があれば出来ますよ!」という心の声が日々交わされています。

各持ち場について

さて、次にゴルフ場レストランにおける各持ち場についてお話ししましょう。
ゴルフ場レストランにはホール、キャッシャー、デシャップ、洗い場、調理場と大きくこの5つの持ち場があります。
事業規模にもよりますが、

各持ち場にはそれぞれ1名〜5名くらいのスタッフがいて連携しながらレストラン業務を行っています。

ホールでは出来上がった料理の配膳やお客様とのコミュニケーション、オーダー、テーブルセッティングなどを行います。

キャッシャーは、各お客様に割り振られた番号にオーダーされた商品を紐付ける作業や、レストラン内にあるお土産や追加のドリンクなどをその番号に紐付けたりする作業を行っています。

デシャッブでは、オーダーを受けた料理を厨房内の調理人に伝える作業、出来上がった料理をセットする作業、その際に見た目のチェックも行なっています。

洗い場では大量に戻ってきた食器類を廃棄するものと洗浄するものとに仕分けして、スピーディーに流れ作業を行なっています。

最後に調理場ですが、これも事業規模にもよりますが、大きいところでは、調理長を中心に、焼き担当、揚げ担当、麺の茹で担当、などと専門的に位置が決まっているところもあります。
ゴルフ場レストランではオーダーから7分間で食事を提供するというのが基本なので、各持ち場での担当者が有機的な連携をしてお客様に最適な食事環境を提供できるようにしています。

最後に

いかがですか?
ゴルフ場レストランの特徴が少しでもお分かりいただけたでしょうか?
ゴルフ場にはプレーを楽しみに来るお客さんがほとんどですが、その合間の食事も楽しみに来てくれるお客様も多いのです。
そんなレストラン運営なので、

どのゴルフ場もいろんな嗜好を凝らしてお客様に楽しんでもらおうと日々努力をしているのです。

それでは今日も素敵なゴルフライフを!

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