ゴルフに学ぶハンディキャップの活用法

元ゴルフ場支配人の独り言

ここではゴルフにおけるハンディキャップについて、その理解や解釈を説明して、一般的な活用法についての提案をお話しさせていただいています。

目次

ハンディキャップとは?

この言葉の意味をネットで調べますと、

1 スポーツ競技などで、技量差のある者同士の均等をはかるために、強者につける不利な条件。また、弱者に与える有利な持ち点。ハンデ。
2 弱者から見た強者との差。立場を不利にする条件。ハンデ。「―を克服する」
と書いてあります。

特にスポーツ競技において、同じ土俵で技を競い合う際に実力差を埋め、できるだけ公平にするために活用されているものです。

 

スポーツ競技だけではなく私たちの生活の中でもこの精神と思想は使われているように思われます。
日常生活をおくるうえで、同じことをして同じ成果を得るためにハンデは利用されています。

グロススコアとネットスコアとの違い

 

ゴルフ競技において、その試合のスコアを競い合う時に、純粋なスコアがグロススコア
ハンディキャップを考慮して再計算されたスコアがネットスコア呼ばれています。

プロの競技においてはネットスコアではなく、グロススコアでの判定になります。

 

アマチュアのコンペにおいては、一般的にはネットスコアによる判定が多いです。

これは、さまざまなレベルの人達が一緒に同じ競技をする際にできる限り公平に、上手い人はそれなりに、下手な人でもネットスコアにすることで上位に行けるチャンスがあるようにするためです。

例えば当日のコンペに参加したAさんはハンディキャップが5、Bさんはハンディキャップが20とします。
その日のAさんのグロススコアが80、Bさんのグロススコアが90だったとします。
グロススコアでの評価ならAさんが80対90で10スコアがいいので勝ち。
ネットスコアだとAさんは80-5で75.Bさんは90-20で70となりBさんの勝ちとなります。

普段だと実力とキャリアの差があるプレーヤー同士での競技なら初めから勝負は見えています。

そんな場合にハンディキャップは活用されています。
また、

ゴルフではオフィシャルなハンディキャップを持っていないプレーヤー同士の勝負で、実力やキャリアを元にプレーの前にその日だけのハンディキャップをお互いに確認してプレーをすることもあります。

そうすることで、出来レースを避けて、お互いに不公平感のない勝負を楽しむことができるのです。

 

・メリットとデメリット

さて、次にハンディキャップのメリットとデメリットについてお話ししておきましょう。

メリット

メリットはお互いに不公平感のない勝負を楽しむことだと先程お話ししましたが、

特にアマチュアのコンペ等ではスコアに応じて賞品がもらえることが一般的です。

せっかく参加費を払ってるのにいつも上手い人だけが賞品を独り占めするのはよろしくありません。

ハンディキャップがなければ、いつでも上手い人しか賞品をゲットすることができません。

上手くない人でもハンディキャップの恩恵でネットスコアが良くなり、平等に賞品をゲットすることができます。

良いことずくめのハンディキャップですが、デメリットは何でしょうか?

 

デメリット

それは、ハンディキャップを悪用する人がいるということです。

オフィシャルなハンディキャップなら証明証があるのですが、自己申告ならいくらでも嘘がつけます。

謙遜とは別で、悪意を持ってハンディキャップを過少申告する人がいます。

そんな人と一緒にプレーすると上手くない人にチャンスが巡ってきません。

また、競技においても、大切な試合の前にわざと大叩きをしたスコアカードを提出して、自らのハンディキャップを多くする人もいます。

本当の実力ではなく、下手に見せて、本番でネットスコアを良くするという姑息な人もたまにいます。
そんな人達にハンディキャップは利用されることもあります。

 

スポーツ以外のハンディキャップについて

さて、ここまでゴルフに関してのハンディキャップについてお話ししてきました。

ここからは、私たちの日常生活の中におけるハンディキャップについて考察してみたいと思います。

その存在意義は同じです、

実力差のある者同士ができるだけ公平に同じ目的を達成するために私たちはさまざまな工夫をしています。

例えば、電車やバスにある優先席。
これは高齢者や身体に障害がある人達が健常者と同じように電車やバスを安心して利用できるようにするもの。

バリアフリーと呼ばれる勾配の小さな緩やかなスロープや手すりなど、高齢者や障害がある人でも同じように行動できるようなシステム。

学割と呼ばれる学生に対しての各種割引料金の設定など、収入がなくお小遣い制の学生や、また子供達を養っている親御さんの家計への負担軽減などを目的として、学生にも社会人と同じように行動できるためのシステム、これもハンディキャップと言えるでしょう。

他にも比較的弱者に対しての救済措置とも言えるシステムが私たちの周りには数多く存在しています。
これらは全て、

 

「人間は生まれながらにして自由で平等である」という近代自然思想に基づき、人間が創造した素晴らしいシステム、ハンディキャップ

だと私は思うのです。

ビジネスにおけるハンディキャップの活用法について

さて、ここからはビジネスにおけるハンディキャップの活用法について考察してみたいと思います。
私は社会人になってからこれまで、常に数字と向き合う仕事ばかりしてきました。

それは主に業績と呼ばれるもので、人数、単価、原価、利益、など定量的に表現され全て数値化された形で評価されてきました。

数的評価には絶対的なものと相対的なものがありますが、多くはKPIと呼ばれる他との比較によって評価されることになります。

そんな中で、果たして実績を出した状況が同じであったかというとそうではないケースがほとんどかと思われます。

例えば私がいたゴルフ場ではそのゴルフ場を取り巻くマーケット状況によって業績はさまざまです。
良いところもあれば悪いところもある、良い時もあれば悪い時もある。

自分が悪い時や悪いところに配属された時には運の悪さに落胆したものでした。

KPIにおける他コースとの比較の中で感じていたことは、ハンディキャップがほしいということでした。

関東や近畿における大都市圏周辺のマーケットと地方のローカルエリアでは顧客層が異なり、人数も単価も変わってきます。

単純に売り上げを比較しても勝負にはなりません。

また同じエリア内でもゴルフ場の位置する場所や歴史などからその業績は異なってきます。

そんな違いを非評価者は感覚的かつ定性的には理解していても、そこに定量的な基準はありませんでした。

年間予算における目標値をゴルフ場毎にメリハリをつけて設定はするものですが、現場では同じサービス業を行うにあたり、どうしても不公平感はあるものでした。
この辺りはまた他の機会に詳しくお話しするとして、今回はハンディキャップの活用法についての話なので、話を元に戻しましょう。
例えば

 

ゴルフでは毎回プレー後に提出するスコアに応じて定期的にその人のハンディキャップを更新します。

このシステムがとても合理的だと思うのは、ゴルフのスコアはその時の体力や気力など、その人の状況に応じて常に変化するもので、一度つけたハンディキャップも状況に応じて更新するべきだと考えるからです。

これらを仕事に置き換えてみると、ゴルフでいうコース状況やその日の天候、進行具合などが仕事でいう外的な要素であるマーケット状況。
ゴルフでいう、その日のプレーヤーの体力気力を含めたコンディションが企業や事業所における従業員を含めたポテンシャル、すなわち内的な要素である企業体力であると言えるのではないでしょうか。

この企業体力というものが、非評価者にはあまり見えていない部分であり、何かを計画する際に、企業体力の成長進化を根拠とすると説得力に欠けると思われがちな部分でもあります。

以前、物と違う人としての特徴は成長進化だとお話ししましたが、この部分が可能性として未知数なところだと思うのです。

 

そんな、人としてのパフォーマンスを均一化するためのハンディキャップの設定にはこれまでの実績と今後の予測をも考慮する必要があると思うのです。

仕事でも同じように、人それぞれの目標値を設定する際にはこれまでのキャリアを重視するのではなく、今の外的要因、内的要因などのリアルタイムな状況を加味して設定するべきだと考えます。

そこで問題になるのは、キャリアがある人ほど給与もいいはずですから、例え現状がキャリアの浅い人に優位だとしても目標値を逆にするわけにはいかないというところです。

そういう場合には業績に応じた報奨金制度などを上手く活用して、キャリアの浅い人が好成績を残した時にはキャリアの長い人と同じくらいの給与がもらえるようにするべきでしょう。

 

この報奨金制度もハンディキャップの一種だと思うのです。

キャリアや場数というものは過去からの積み上げであって、今更自分の努力ではどうしようもないことです。

会社側もこれまでの貢献度という点から、キャリアのある人よりそうでない人に高い給与を払うことに戸惑いを感じるのは当たり前でしょう。

そしてこの報奨金制度を導入するとなると、会社としてはプラスの経費がかかることとなります。
導入前と導入後とでは原価率が上昇することが予想されるからです
ですが、ここで

人の成長と進化に見られる可能性を考えてみてほしいのです

報奨金制度があるが故に、それがハンディキャップとなって、キャリアが少ない人でもキャリアがある人と同じくらいの給与をもらえることになります。

そうなるとキャリアの浅い人のモチベーションが上がります。

自分も頑張り次第でキャリアのある人と同じくらい、あわよくばそれ以上の給与がもらえるチャンスがある。
そう思うとパフォーマンスが上がり結果もついてくるでしょう!

そこに人の成長と進化が加わると、先程の原価上昇以上の売り上げ上昇が見込めて、原価率は同じか、あわよくば抑えることもできて利益向上に繋がることもあるはずです。

すなわちハンディキャップとしての報奨金制度の導入は労使双方にとってwin-winの関係をもたらすと言えると思うのです。

最後に

いかがでしょうか?
私たちの周りにはいろんなハンディキャップが存在します。
そして、

ハンディキャップのおかげで、私たちはいろんなことにチャレンジすることができるのだと思います。

ハンディキャップのない世界を想像してみてください。

常に勝敗は決まっていて、初めから出来レースだけの世界では何の変化も進化するチャンスが生まれず、弱者は弱者のままで、差別化が広がるのではないでしょうか?

また、先程話したデメリットとして、ハンディキャップを悪用する人がいるのも事実です。
例えば最近では生活保護費の不正受給などがそれに値すると思います。
行政が優しさと思いやりを持って取り組んでいる事を逆手にとって必要がないにも関わらず虚偽の申請を行い私腹を肥やす人もいると聞きます。
そんな事が増えると審査時のチェックも厳格になり、本当に必要とする人達にハンディキャップを与える事が出来なくなる可能性も出てきます。

ハンディキャップを与えるものは優しさと思いやり、ハンディキャップをもらうものは誠実さと感謝する気持ちを持つ。

そしてお互いにリスペクトしながら強者と弱者とが共存する社会がいつまでも続く事を心より願っております。

それでは今日も素敵なゴルフライフを!

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