ゴルフ場の客単価(ゴルフプレー料金)について

元ゴルフ場支配人の独り言

ゴルフ場の客単価(ゴルフプレー料金)について

 

ここでは、ゴルフ場の客単価(ゴルフプレー料金)について考察した事を記事にしています。

ゴルフ場側がどのようにしてプレー料金を決定しているのか?

そしてそのゴルフプレー料金がどのような影響を及ぼしているのか?

その真相についてお話ししたいと思います。

 

目次

【ゴルフプレー料金の内訳について】

ゴルフのプレー料金には内訳があります。

何に対していくら必要なのか?というものを明記したものになりますが、内容的に不明確であったり、興味がない人にとってはわかりにくかったりするかもしれません。

なじみのない言葉であったりするとなおさらですので、言葉自体の説明も都度詳しく説明しておくようにします。

 

  • メンバーフィーとビジターフィー

先ず、プレー料金は大きくこの二つに分類されます。

メンバーフィー(会員様の料金)ビジターフィー(会員でない方の料金、ゲスト料金とも言います)

当然、入会金や年会費を支払っているメンバーの料金はビジターの料金に比べると割引されてお安くなっています。

これは入会時のメンバーへの一番の特典として通年で通常料金(ビジターフィー)よりも安くプレーできるという事を契約の内容にも明記されています。

一般的には平日で5,000円~10,000円、土日祝日で10,000円~20,000円ほどの差をつけて料金設定をしているコースが多いですが、まれに差がなかったり、酷い場合には逆転していたりするケースもあるので注意しておきましょう。

 

  • グリーンフィー

これは主にコースの維持管理費用としてお客様に負担していただくという意味の料金になっています。

ゆえにゴルフ場によっては、この分のトータルをコース管理部門の売上として計上して、コース管理部門の損益の目安にしているゴルフ場もあります。

一般的にはこのグリーンフィーというものを料金変更の際に変更する事になります。

 

  • カートフィー

これはプレーで使用する乗用カートの使用料というたてつけになっています。

カートのリース代や維持メンテナンス費用、ガソリンや電気代、またカートに搭載しているナビゲーションの維持管理費用などがそれに含まれます。

一般的にこれは1台のカートを4人で利用した場合の金額が基準になっており、3人や2人で利用する場合には割高になります。

支払いの時の明細でよくみられる「3B割増、2B割増」の金額はこのカートフィーの割増料金がそれになっています。

 

  • キャディフィー

これはキャディを帯同させてのプレーをした場合のオプション料金になります。

キャディを帯同させずにセルフでプレーする場合については必要ありません。

ゴルフ場によってまちまちですが、この料金から全てをキャディへの給与として支給するところと、会社分を差し引いて支給する場合もあります。

こちらも一般的には1組4人でプレーした場合の金額が基準になっており、3人や2人で利用する場合には割高になります。

カートもキャディもホテルにおけるルームチャージと同じ捉え方をすれば理解しやすいかと思います。

ホテルの客室が1部屋でいくらと決まっていたら、それを1人で使用するよりも4人で使用すれば支払う金額は1/4になる事と同じ理屈です。

 

  • 諸経費

これは字のごとく、諸々の経費ですので、その内訳はゴルフ場によっていろいろです。

ゴルフ場内で起こりうる事故などに備えた保険料に当てたり、施設を維持管理する為の費用に当てたりと、そのゴルフ場運営の為の必要な経費分としてお客様に負担していただく料金だと認識していていいかと思います。

緑化協力金などの各種協力金もこれに含まれる場合もあります。

ちなみに、常に一定額ではなくこちらもグリーンフィーほどの頻度ではありませんが、料金変更の際に調整する項目となります。

 

  • 昼食代

これは昼食時にレストランで利用した食事代となります。

プランによっては「食事付」のものもあり、差額メニューを利用したときのみ追加で発生するケースもあります。

こちらはゴルフ場とプランによって変化するものですのでプレー前にしっかりとチェックしておく必要があります。

 

  • ゴルフ場利用税

こちらはゴルフ場を利用した際に必ず支払う義務のある税金です。

県税で、各県によってその算出方法が異なります。

一般的にはゴルフ場の規模や販売価格に応じて算定されています。

これまでの私の経験や見識では600円~1,600円くらいの幅で徴収していました。

18歳未満、70歳以上の方、障害者の方、国体における競技としての利用、学生等の利用の場合には証明書を提示することで免税になります。

 

【プレーフィー以外のゴルフ場売上について】

それでは次にプレーフィー以外のゴルフ場売上についてお話しておきましょう。

上記、プレー料金にプラスして定期不定期で以下の売上が発生します。

  • メンバー年会費

これはゴルフ場に所属する会員様が一年間の会費としてゴルフ場に支払うもので、そのゴルフ場の質や規模によって価格帯が広がっています。

基本的には固定になりますが、運営会社や業界環境に応じて値上げや値下げする場合があり、会員数の数によってそのインパクトには大小があります。

 

  • 競技、イベント参加料

これは、メンバーによる月例や各種クラブ競技を開催するときの参加料となり、基本的には変動する事はありません。

イベント参加料はスコアに応じた賞品等の仕入れ代に充当されますので、その都度変動する事もあります。

 

  • ショップ販売

ゴルフ場ではスペース的に限られた商材しか取り扱いできませんが、一昔前の少なくてほとんど定価販売のころに比べると、品ぞろえも増えてきたように感じます。

ポイント還元などのメリットが受けられなければ、量販店やネットで購入した方が良いかもしれませんが、ボールやティーなどの消耗品が現場に置いてあるのは、プレーヤーにとってのサービス向上につながると考えます。

 

  • 追加プレーフィー

先程説明したプレーフィーは基本的に1ラウンド18ホールのプレーに対しての料金であり、追加であとハーフの9Hをプレーする場合の追加料金になります。

こちらも、先程のグリーンフィーかもしくはカートフィーに追加して料金を調整します。

一般的にはただのハーフ9Hでのプレー料金よりも割安で利用する事ができます。

 

  • 所属プロによるレッスン料

そのゴルフ場に所属するプロによるレッスンを受けた時にプレーフィーとは別に支払うプロへのレッスン代になります。

レッスンを担当しているプロによって価格帯には幅があります。

これも先程のキャディフィーとおなじく、いったんはゴルフ場の売上として計上された後、ゴルフ場からプロへの報奨金もしくは給与として全額か一部を差し引いた金額が支払われる事になります。

 

  • パーティー代

こちらはコンペなどで利用した際のプレー後のパーティー料金になります。

内訳は食事や飲料、賞品代金となります。

 

【ゴルフ場の商品価値と料金について】

ここまでで、ゴルフ場で支払う料金についての内訳における認識が深まった事だとおもいます。

ゴルフ場に行ってお金を使って家に帰ってくる、その時に手元に何が残っているでしょうか?

ショップで買い物をしなければ、ほぼ何も残っていないと思います。

ゴルフプレーもレストランでの食事もその場で消費しきってしまうものです。

ではこの対価としての『ゴルフ場商品価値』について考えてみたいと思います。

ゴルフ場で提供するものは『サービス』です。

これにお客様は満足して、お金を支払う。

一般的な購買活動において商品価値が高いものは高い料金を支払い、そうでないものには高い料金は払わない。

その判断はお客様が決めて選択をする。

ゴルフ場はどうでしょう?

例えば先程のグリーンフィー、これはコースの維持管理に必要な費用をお客様に負担していただいている認識だと説明しました。

であれば、コースの状態が良好ならグリーンフィーは高く、そうでなければ高い料金設定にはできない。

その判断をお客様にしてもらう機会があるかというと、それは現実的にはないのです。

お客様は予約の段階で既に行く予定のゴルフ場に対して、その日はいくら支払うという事を納得していて、約束して来場してきます。

すなわち商品価値に対するお客様の判断は予約の段階で決まっているのです。

その時のお客様の判断材料は「以前行ったことのあるゴルフ場ならそのときの印象」「初めてなら、ネットなどに掲載されている口コミや写真」「知り合いからの紹介」などでしょう。

全ては『事前に知る、過去の情報』なのです。

実際にプレーする当日の情報としては古い情報であり、現実とは乖離している場合もあります。

それが理由でゴルフ場側としても、「今コースの状態がとても良いから、商品価値が高いから高い料金で販売しても良い」とはならないのです。

スタッフへの教育を強化して人的サービスレベルを上げたとしても、それを理由に値上げしようものなら、現場でのスタッフのプレッシャーが強まりストレスになり逆効果でしょう。

ゴルフ場における商品価値の評価は出来るとしても、それを理由にタイミングよく価格に反映されるという事は難しいのです。

 

【プレー料金の決定理由について】

商品価値によるプレー料金の変動はタイミングよく行われないとはいえ、全く関係がないわけではありません。

料金をあまりいじらずに通年でラックレートと呼ばれる公示価格を決めているゴルフ場は初めから比較的高い料金を設定しておき、商品価値の向上に努めています。

ではなぜ、プレー料金が変動するのでしょうか?

最大の理由は「ゴルフ場運営側の都合」です。

・何か新しい設備投資をしたから、またはする予定があるから。

・施設のメンテナンスに資金が必要だから。

・物価が高騰しているから。

このようなイレギュラーな理由に加えて私が一番だと考えているのは『需要』です!

ゴルフマインドが高まる季節、時期、曜日、時間帯、そのようなゴルフ需要が高まるタイミングというのはゴルフ場の商品価値よりも「価値」があるものだという事はゴルファーも認識しているところです。

昔から、週末と平日とでは料金が違うことは当たりまえのように認識されています。

トップシーズンの良いスタート時間帯、具体的には春や秋の過ごしやすい季節の週末の8時から9時のスタートとなればゴールデンタイムです。

この時間帯の料金を高くして、他の時間帯を比較的柔軟な料金にして稼働を維持する事で売上を最大化させるというのは以前紹介しましたレベニューマネジメントというゴルフ場におけるマーケティングの思想になります。

レベニューマネジメントはまさに需要に応じて料金を変更させていく事で合理的に売上を最大化させるという思想だと言えるでしょう。

 

【プレー料金によるゴルフ場への影響について】

さて、最後にプレー料金がゴルフ場に与える影響について考えてみたいと思います。

ゴルフ場の格付けとプレー料金とは相互に比例関係にあると言えます。

「格付けが高いからプレー料金が高い」「プレー料金が高いから格付けが高い」どちらも正しい表現かと思います。

それを決める主体がどちらかという問題だけでしょう。

ゴルフ場の格付けはお客様が評価するものですが、ゴルフ場の企業努力で決まるものでもあります。

ゴルフ場のプレー料金はゴルフ場側が決めるものですが、それを選ぶのはお客様になります。

先程の「需要」の中には季節という要素に加えて、お客様からのニーズというものも大きく含まれてきます。

ゴルフ場とお客様、この両者によってプレー料金も格付けも変化していくものだと言えるでしょう。

ここで、私が一番言いたい事は、どこをみてまたは何を重視して料金を決定するか?という事です。

格付けの高いと言われているゴルフ場はお客様の評価よりも自らの在りたい姿を目指す事に重点を置いており、それがお客様に受け入れられなくても、一部の受け入れられるお客様だけを取り込むという姿勢を貫く傾向があります。

そのためお客様が来ないからと言って料金を下げる事はしません。

常に適正な稼働を維持しながら、その料金に見合った自分自身の姿というものに磨きをかけることに力を注ぎます。

 

これから先のゴルフ業界は「淘汰」という時代に入っていくと思われます。

 

買い物をする時に、安くてそれなりのものを買ったのはいいが、直ぐに使い物にならなかったり、機能が足りなかったりして、結局は最初から高いけど良いものを買った方が安く済んだという経験はありませんか?

 

サービスを提供するゴルフ業界にもそのような消費マインドが生まれてくるかもしれません。

 

それでは今日も素敵なゴルフライフを!

 

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