ゴルフ場とサービス業について

元ゴルフ場支配人の独り言

 

ここではゴルフ場の現場におけるサービスについて私の持論を述べています。

今、サービス業に勤めている方、これからサービス業で活躍してみたいという方、両方に読んでいただき、一つの参考にして頂けたら幸いです。

後半でははたしてゴルフ場運営はサービス業であるのか?

という事についても考えてみています。

 

また、ゴルフ場におけるサービスに関して過去に記事を書いたことがありますので一度読んでみてください。

※参考記事『ゴルフ場のシンプルサービス化について』

 

目次

サービスの定義について

先ずはサービスの定義について考えてみましょう!

私の思う真のサービスとは

『人を気持ちよくさせる事を目的とした全ての行為』

だと考えています。

 

ここでいう『人』とは、行為をした人とされた人の両方だと考えています。

つまり、

ある人が誰かを気持ちよくさせようと思って起こす行為により、誰かが気持ちよくなったと同時に、その行為をした人自身も気持ちよくなる事。

それが真のサービスであると考えています。

 

ここで、あえて真という言葉をつけたのは、そうでない場合も存在すると考えているからです。

 

それは、

自分の行為によって相手だけを気持ちよくさせる事のみに成功して、自らはその行為によって、何かを犠牲にしたり、ストレスを感じたりする事です。

 

 

これはサービス業の現場でよくみられるシーンじゃないでしょうか?

 

私の考える「真のサービス」とは与える人も受ける人も全ての人が気持ちよくなる事を目指しています。

 

業としてのサービスについて

次に業としてのサービスについて考えてみましょう!

人がお客様としてあるところに行き、サービスを提供してもらい、その対価としてお金を支払うのがビジネスとしてのサービスでしょう。

 

私なりのサービス定義に基づくと、先ずはお客様が気持ちよくなった事に対してお金を支払う契約が実行されるのが、サービス業の現場と言えるでしょう。

 

ここで、重要なのが、

ビジネスとしてサービスを提供する以上、お客様を気持ちよくさせるという事は絶対だという事です。

 

つまり、お客様を気持ちよくさせる事に成功しなければビジネス自体が成り立たないと言えるでしょう。

 

それがゆえに、

お客様の都合に合わせてサービスを提供するべく、現場で働く従業員にはプレッシャーと緊張感と責務があり、サービスを提供している時の多くはストレスを感じたり、何かを犠牲にしたりする場面もあるのです。

 

⓵でも述べました真のサービスとは、

提供するという言葉自体がふさわしくないと思えるほど、非営利的なものだと考えています。

 

ビジネスにおけるサービスとは本当はふさわしくないのかもしれません。

 

サービスの商品価値について

なんとなく、ビジネスとしてのサービスの存在意義が危うい感じになってきましたが、サービス業という言葉がある以上はその商品価値について考えてみる必要があるでしょう。

 

真のサービスが非営利的なものだとすると、ビジネス自体が成り立たなくなると考えがちですが、需要がないかと言うとそうではなくて、

現代のストレス社会において、今やサービス業とはとても重要で必要なものであると言えるでしょう。

 

日ごろのストレスを発散する為にお客様はサービスを受けて気持ちよくなりたいと思い、そういう場所に行き、癒され元気をもらって明日からの活力にしたりします。

 

気分転換やストレス発散、家族サービス、大切な人との思い出作り、人とのコミュニケーションの場、社交場、などなど、私たちのプライベートには欠かせないものとなっています。

 

そういう意味では、とても価値あるものだと言えるのではないでしょうか。

 

サービスの材料原価について

では次に、その商品の原価について考えてみましょう!

 

サービスには有形のものと無形のものがあります。

それは、

どちらも人が5感を通して得た情報に対して、どう受け取るかによるものです。

商品としてのサービスは、当然、受け手の人にとってプラスのものでなければいけません。

 

心地よさ、嬉しさ、感動、感銘、驚き、発見、勉強、夢、希望、幸せ、幸運、出会い、などがそれにあたります。

 

ここで、注目したいのは、

提供されたサービスに対して相手がどう受け止めるか?

というところだと思います。

 

相手に応じて適正な行為をしないと、プラスに受け止めてもらえず、サービスにならないケースもあります。

 

このあたりの判断は人がするものであり、商品としてのサービスの材料原価としては人そのものという事になるでしょう。

 

人のパフォーマンスを高める事に必要な費用、つまり、

人件費、労務費、教育費、研究費など

がそれにあたるかと思います。

 

もう一つ、有形のサービスの為に施設の美化やリフォームに必要なメンテナンス費用等もあります。

 

そして、ターゲットのニーズに合わせて収益増を目論む戦略的な費用もあります。

 

これらの費用がサービスの材料原価と言えるのではないでしょうか。

 

人的サービスとテクノロジーによるサービスについて

ここで、人的サービスとそれテクノロジーによるサービスについてもう少し深く考えてみましょう!

 

人的サービスとは文字通り人が発信する情報で相手を気持ちよくする事だと思います。

 

その情報のほとんどは視覚と聴覚から入ってくるもので、

スタッフの笑顔とあいさつ、丁寧な言葉使い

から始まり、気の利いた会話と思いやりのある対応でお客様は癒されます。

 

ある人は自分の存在価値を再確認できる場所として、ある人は自分の欲望を満たす場所として、ある人は日常不足しているものを補充する場所として、ある人は自分の魂を開放する場所として、その他さまざまな目的があるのですが、みんな、気持ちよくなるためにそこを訪れるのだと思います。

 

そんな人たちの目的達成の手助けをするのがサービスマンの仕事です。

 

そしてもう一つ、人的サービス以外のサービスとは

芸術作品やテクノロジーなどによって、人以外のものから発信された情報を目と耳から受け取り、驚きや感動を得て気持ちよくなる事でしょう。

 

これらのサービスは今後、指数関数的に進化する異なる技術が複合的に構築されて、私たちの想像をはるかに超える驚愕の世界を体験させる事になるでしょう。

 

人的サービスとテクノロジーによるサービス、どちらが良いとか優劣をつけるのではなく、互いに足りない部分を補い合って、共に進化していく事がこれからの明るい未来への展望だと考えます。

 

サービス業の魅力について

ではサービス業の魅力について考えてみたいと思います。

 

これまで述べた通り、サービス業の現場では多くの人が気持ちよくなっています。

気持ちよくない現場に比べると、間違いなく雰囲気は良いものです。

 

そして、

気持ちよさというものはシェアする事が出来ます。

それも消費することなく、時には倍増して分けてもらえる事もあります。

 

自分の気持ちよさを、誰かが共感して気持ちよくなるのを見て、更に自分の気持ちよさが増えていきます。

 

そんな、プラスの相乗効果が起きたりするのがサービス業の現場なのです。

 

私はこの業界で働き始めて新人だったころ、なんとなく気分がしずんでいた時に、常連のお客様から逆に元気つけてもらった経験があります。

 

そんな魔法のような事も起こるのがサービス業の魅力だと思います。

 

何事も自分自身の受け取り方次第という事でしょうか。

 

サービス提供時に私が心掛けている事

ここで私がゴルフ場においてサービスを提供する際に心掛けている2つの事をお話ししたいと思いま。

 

一つ目は

真のサービスとは見返りを求めない行為(≒好意、親切)である

という事。

 

この業界に足を踏み入れてここまで、当日ご来場されたお客様に気持ちのいいサービスを提供して、また来たいと思わせてリピーターにさせる。

と上司や先輩に教わり、自分も同じことを後輩に伝えてきました。

 

しかし、今の自分は少し違います。

 

今は、また来てほしいのではなく、その日その時その一瞬で、その人の為に自分に出来る事を誠心誠意行うようにしています。

 

それは、

愛する家族や恋人に接する 時の対応と同じで、そこに見返りなどは無く、ただ、その人を気持ちよくさせたい、という気持ちで接する事です。

 

もう一つは、

表情から気持ちを変えていくという事です。

 

普通ですと、楽しい気分の時には笑顔が自然とでます、悲しい気分や落ち込んでいる時には表情も沈みがちです。

ここで、気分が落ち込んでいる時も少し頑張って笑顔を作ってみるのです。

そうすると、気分までも楽しい気持ちになってきます。

それを周りの人と共有すると更に楽しくなってきます。

 

これをする事で、相手がどんな人であれ、見返りを求めないサービスを実践する事が出来るのです。

 

しかし、人間は感情の生き物ですから、時には冷静さを失い、ミスをして、相手の気分を害する事もあります。

 

ですが、

自らを律しながら行動していく事を意識していきたいと考えています。

 

ゴルフ場運営はサービス業か?

最後にゴルフ場運営ははたしてサービス業なのか?という事について考えてみましょう。

 

私なりの定義ですと、来場したお客様を気持ちよくすることがサービス業の第一の職務なのですが、大好きなゴルフをプレーしに来るお客様は、来場前から気持ちよくなることはある程度、確定しています。

 

そして、ゴルフプレーの内容、スコア、仲間とのコミュニケーションによって、気持ちよくなるか、そうでないかは決まります。

 

つまり、ゴルフ場のスタッフがするべき事は、

プレーヤーが良いスコアでラウンド出来る為にアシストする事

でしょう。

 

すなわち

ゴルフ場側のアシストと自分自身のパフォーマンスの協業により、お客様が気持ちよくなるのだと考えます。

 

そういう意味では、ゴルフ場運営はサービス業であるのは間違いないですが、お客様を気持ちよくさせる為にはスタッフの自助努力だけでは決してないという事だと思います。

 

QSCHやラウンド管理、レストランメニュー、ショップ、コースのロケーション、クオリティ、コンディション、レイアウト、スタッフ対応などなど、お客様のベストスコアを出すためのアシストをしっかりとしていく事がゴルフ場におけるサービスの本質であると考えます。

 

 

それでは今日も素敵なゴルフライフを!

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