組織マネジメントについて
ここでは
組織マネジメントについて、ゴルフ場での経験をもとに、思うところをお話ししています。
私の組織マネジメントのモットーは
『自分以外の人に自分以上の成果をあげてもらう事。』
そのための手段として
『その人のパフォーマンスを最大化させる事。』
そして
『結果に対して喜びと感動を共有する事。』
でした。
数あるマネジメント手法の一つとして、興味があれば参考にしてみて下さい。
目次
マネジメントについて
先ずはマネジメントについて考えてみましょう。
直訳すると「管理」または「管理者」「経営トップの人」という使い方もされるようです。
そして「管理」とは、
1 ある規準などから外れないよう、全体を統制すること。
2 事が円滑に運ぶよう、事務を処理し、設備などを保存維持していくこと。
3 法律上、財産や施設などの現状を維持し、また、その目的にそった範囲内で利用・改良などをはかること
という意味であるそうです。
まさに、私が組織マネジメントにおいて一番意識していた事は
「基準から外れないように全体を統制する事」「組織が円滑に運営されるように知恵を絞り行動する事」
でした。
そして、管理者としの直接行動により統制や円滑性を向上させ、現場スタッフの能動的な行動によりそれらが実現されるという事を理想としていました。
組織を管理するという事は人を管理するという事
と同じだと理解しています。
人とものとの大きな違いは可能性だと考えます。
それは管理されている人が外的な刺激を受けてそれに対してどのような反応を選択するのか?
それによって
結果が無限大に広がる可能性を含んでいるからです。
よく「ひとつ伝えると10の事を理解する」という言葉を耳にしますが、まさにそれで、人は考えそれぞれの理解に基づいて行動を起こします。
その行動が管理者の想定した事を超える結果になることもありますし、意図しない事になる場合もあります。
組織マネジメントとは管理される人の事をよく理解して最適な導きを与える事で自分の組織の目論む結果を最大限に実現する事だと考えます。
人の成長について
さて、私が管理職者として組織マネジメントの業についていた時に日々感じていたのは「人の成長」でした。
人はいくつになっても進化成長できる
というのは私の持論です。
自分自身の成長を自分で感じる事はそうありませんが、他人の成長というものは客観的に見ていて感じる事ができます。
数値化できる部分と肌感覚で感じるもの。
昨日できなかったことが今日できている。
昨日までと違った発言を今日はしている。
これまでの弱点が克服され、改善された形でその人の良いところが活きたままプラスの方向に進化している。
そのような人の成長を感じる瞬間を多く見てきました。
それは部下は勿論、上司にも同僚にも同じように見ていて感じる事でした。
人の成長のきっかけは外部からの刺激によるものだと考えています。
そこで気づきを与えられ、それに対して自分自身でどう捉えて、考えて、行動するか。
その時に人の成長が始まるものだと感じています。
これまでの自分自身の経験と合わせて、人の成長に最も必要な要素、それは
「素直さ」
ではないかと感じています。
ここでいう「素直」とは、数ある意味の中で
「心や気だてが他に逆らわないで、おだやかなさま。ひねくれたところのないさま。従順」
というところです。
私が社会人一年目にある熟年の先輩から言われた言葉を思い出します。
「仕事のできるやつの一番の要素、それは『素直さ』だよ!」
でした。
これまでの人生の中でこの言葉とその時の映像は今でも鮮明に記憶に残っています。
それは、「素直さ」が必要な瞬間があるたびに自分自身に戒めの意味でこの言葉を思い出していたからです。
人生において「素直さ」を見失う瞬間は数多くあります、それは感情的になって冷静な判断を失う事と同じで、そんな時の多くは失敗に終わり後悔だけが残ります。
誰もが小さな子供に対して優しくしてあげるのは、その子が「素直」であるからではないでしょうか?
「素直」な態度を示している人に対しては誰しも穏やかで紳士的、相手が大人ならリスペクトすら持って接するものです。
相手の発言やアドバイスに対しては、先ずは「素直」に受け止める、そこに成長のチャンスがある
のだと感じます。
感情的になった時の自分をうまくコントロールして、そんな自分を演じるくらいになれたらかなりの成長だと思います。
パフォーマンスの最大化について
さて人の成長について考えてみたことをお話してみましたが、人の成長をはかる一つの目安としてその人のパフォーマンスが上がっている事があると考えます。
ここでいうパフォーマンスとはビジネス用語でいう「性能」「効果」「成果」という意味です。
人の性能や効果というものを可視化する事はなかなか困難で、評価者と被評価者との間での納得度合いに差異が生じる事が常です。
営業職での成績を数字で表す場合においても、
そのプロセスや要因を精査するとそれが真にその人のパフォーマンスであるのかは疑問に感じるケースもあります。
ですが、ある一定の基準において、その人のパフォーマンスを評価する事は可能で、自他共に充実した活動を行えていると実感している瞬間というのは間違いなくその人のパフォーマンスは高くなっています。
特にサービス業における人のパフォーマンスを評価する一つの要因が「笑顔」「楽しさ」だと考えます。
これは自然と表面に出てくるものであり、笑顔で楽しく仕事をしている人は数値に関係なく、その瞬間は充実した状態にあると言えるでしょう。
ある脳科学者が
「人間の感情である喜怒哀楽の内で『楽しい』という感情の時がその人のパフォーマンスが最大である」
と言っていました。
マネジメントの現場においてそれを実感する瞬間を数多く経験してきました。
業績に関係なく、スタッフが笑顔で楽しく仕事をしている職場環境。
組織運営を考えるうえで全員のパフォーマンスが最大化している時、その事業所のパフォーマンスは最大化しているといえると考えます。
すなわち管理職者にはスタッフを笑顔で楽しく仕事をしてもらい、全員のパフォーマンスを最大化にする事に注力する事が最も需要であると考えます。
管理者に必要な事
私がゴルフ場支配人をしていた時、一番気にしていたことは「毎日のスタッフの表情」でした。
サービス業という事もあり、お客様に対して笑顔で接する事が最重要であるとの認識から、暗い表情をしているスタッフをみると声をかけていたものでした。
もちろん、みんな様々な問題を抱えて生きているので、落ち込んでいたり悩んでいたりしている人と私ごときが話をして解決する事なんて簡単に出来る事ではありません。
時には、暗い表情のスタッフの話を聞いて最終的に「気持ちはよくわかるが、仕事だから今日一日は元気を出して笑顔を作ってプロとして振舞いなさい」と少々強引な説得をしたこともありました。
大切なのは私との面談のあとで、その人の表情が少しでも穏やかで明るくなってくれている事でした。
スタッフの表情が明るく元気になっている、そこに自分のマネジメントとしてのパフォーマンスが上がっている事を感じていたものでした。
その人の悩みを聞き、私自身の経験と知識を総動員して、その人に伝える。
そして、受け止めたその人がその人自身の経験と知識をもとに理解して、少しでも前向きな気持ちに切り替わり、未来に対して希望と勇気が湧いてくる。
そんなハッピーな結末が訪れる瞬間を目指してマネジメントをしてきました。
しかし、スタッフとのコミュニケーションの中で上手くいくケースとそうでないケースもありました。
そこはとても繊細な部分で、被面談者が次席者やマネジャークラスの場合、悩みの原因が私自身にある場合もあるからです。
私自身の事で悩んでいる管理職者に対して「どうした?今日は表情が暗いぞ?」なんて言葉をかけるようなものなら、その人の心の言葉で「はぁ?てめぇのせいで俺は悩んでいるんだよ!」と言わんとばかりの表情が帰ってくるのを感じた事がありました。
これも私が事業所責任者としての任についてから数年たってから気づいてきた事でした。
スタッフは決して直接的に正直な思いを伝える事はありません。
一部には兄弟のような付き合いが出来てきてはっきりと言ってくれる人もいましたが、ほとんどが本音をいう事は無かったように感じていました。
そんな時の管理職者に一番必要な事はやはりここでも『素直さ』であると考えます。
部下から自分の欠点を指摘されるのは決していい気分ではありません、その瞬間に、「俺はお前の上司だぞ!だから俺のいう事をお前はきいていればいいんだ!」なんて発言をした時点でパワハラですし、自分自身の成長も止まってしまいます。
部下から自分の欠点を指摘された時には、一呼吸おいて「笑顔で『そうだね』」とひとこと言ってあげられる度量の深さが必要です。
まず、勇気を持って言ってくれた相手に対してのリスペクト。
そして、結果的に自分自身を成長させてくれる機会を与えてくれた事に対する感謝。
そんな気持ちに自分自身がなれる状況を常に準備しておくことが管理職者には必要であると考えます。
結論として管理職者に必要な事も『素直さ』であると言う事でしょう。
人(仲間)の見極めについて
マネジメントにおいて、人(仲間)の見極めという事はとても重要な要素だと考えます。
評価と同じような意味合いになりますが、人にはそれぞれ良い面と悪い面があります。
どちらも相手に対して印象深いものになればなるほど、その人の評価や査定に反映されるものです。
良い面は褒めることで、変わらず維持してもらい更に伸ばしてもらいたいと感じますし、悪い面は指摘して改善に努めてもらいたいと感じます。
人(仲間)の見極めをする際に、時にマネジメントとしてとても厳しい局面に遭遇する場合があります。
悪い面が改善されず、それが業績の悪化や組織としての協調や秩序を乱す要因になる場合です。
その時には、組織の舵取りをする立場として、厳しい決断をしなければいけません。
特に、自分が面接をして入社させた場合や、他部署から自分がコンバートさせた場合などは、そのような事態になった事に対して責任を感じたりします。
私は常に、自分が導いてきた人たちに対する評価は自分自身の評価だと意識するようにしていました。
自分がその人(仲間)を高く評価する時は自己評価が高いと嬉しく思いますし、低い評価をする時には自己評価が低いと反省する事になります。
自分自身のまわりにいる関係者は自分の影響を少なからず受けている事を意識して、人(仲間)を見極める際には、常に自己評価をするつもりで見極めを行っていました。
人(仲間)の見極めとはすなわち自分自身の評価であると考えています。
マネジメントの成功による業績への影響について
長期的にみるとマネジメントと業績とは必ず連動している
というのが私の持論です。
スタッフ全員のパフォーマンスが最大化するときに業績は最大化する
と考えているからです。
スタッフが仕事を楽しんでいる時にパフォーマンスは最大化されています。
笑顔と明るさに満ち溢れている現場には人が集まります。
そこは誰もが心地よいと思う現場になります。
個人のパフォーマンスが向上して、それが有機的に結びつくとチームのパフォーマンスも向上します。
チームのパフォーマンスが向上すると仕事としての質と量とスピード全てが向上します。
それは必ず業績にも影響してきます。
スタッフの表情をみて、毎日笑顔で元気であれば業績は心配する事はないでしょう。
「人は楽しいと感じている時が一番パフォーマンスが高い」
そんな状況を作り上げるのが業績を向上させる為にマネジメントが取り組むべき事ではないでしょうか。
ベクトルの合わせ方とミッション連鎖について
「ベクトルを合わせる」という言葉をよく聞きます。
ベクトルとは物理学的な表現で特に「方向と力」と理解されています。
ビジネス用語として使う場合には「目標と熱意」と私は解釈しています。
私の経験上、同じ職場の仲間と目標がブレる事はありませんでした。
民間企業として、売り上げを向上させましょう!収益を向上させましょう!という目標についてはそこで働く人たちにとって、その目標が達成された時の自分へのフィードバックがしっかりと出来てさえいれば、モチベーションを維持したまま同じ方向を見て頑張る事は出来ます。
ただし熱意については役職に応じてレベルの差が生じるものだと感じていました。
そこは理解することが大切だと考えます。
自分のポジションや役職に応じて仕事への熱意は違うのが当たり前で企業としては、そのベクトルに応じた役職につけているかどうかを人事評価の際には見極める必要があるのではないかと考えます。
時代の変化による指導法の変化について
さて、今般においてはハラスメントという言葉がたくさんの修飾語をつけて存在します。
全てはコミュニケーションの中で人が不快に思う事がハラスメントにあたると認識されています。
以前なら当たり前に発していた言葉が、今では禁句になっているケースが多くあります。
そのハラスメントが足かせになり、本来するべき指導が出来ないと思うときもあります。
一昔まえの職場では、極端には軍隊のように、上官は部下に対して厳しい口調で指導を行い、教育し成長を促していました。
しかし、今ではもしかすると部下の方が力があるかのように上司は気を使いながら現場でのマネジメントを行っているところもあります。
すこしでも相手を不快にさせてしまうとそこで指導からパワハラに変わってしまいます。
そんな現代において必要で重要なスキルはやはりコミュニケーション能力になるでしょう。
指導者はいかにして相手を不快にせずに指導を行えるか?
これからの指導者には知識やスキルを身につけて、表現や表情も工夫して、相手が素直に聞き入れる状況を作り上げる事が必要とされるでしょう。
そう考えると、指導法も時代に応じて進化していかなければいけないと考えます。
最後に
今回は組織マネジメントについて話してみましたが、私はよくゴルフとマネジメントについて考える時に同じような感覚を抱く事があります。
それは、ゴルフは道具を使ってするスポーツであるからです。
以前、ゴルフの上手い人は道具を上手く使いこなせる人という事を書いた事があります。
ゴルフの道具は主にクラブの事を意味しますが、クラブには様々な特徴があります。
シャフトが硬い、柔い、長い、短い、元調子、中調子、先調子、重い、軽い、トルクが高い、低い、ヘッドが大きい、小さい、硬い、柔い、ロフトがたってる、ねている、フェースのスイートスポットが広い、狭い、等々。
ひとえにゴルフクラブといえども多くのスペックが存在します。
そんなクラブのスペックを理解して、利用して、ナイスショットが出来るか?
これはゴルフではとても重要なポイントとなります。
自分とクラブとのマッチングが上手く行っているか?
これが重要なポイントの一つとなります。
自分とクラブとのマッチングを上手くするための方法は2つあります。
ひとつは自分に合うクラブを取得する事。
もうひとつは自分がそのクラブに合わせる事。
これをマネジメントに例えて考えると、前者の場合は自分に合わないスタッフは解雇して、自分にあう人材を探す事になります。
後者はスタッフに合わせて自分を変える事になります。
私たちにとってどちらが現実的でしょうか?
ゴルフではクラブを買い替える事が現実的でしょう。
マネジメントでは自分自身を相手に応じて変える事の方が現実的であると考えます。
特に現代においては、情報化社会になり、私たちが経験にて取得した知識やスキルをネット等にて情報として理解している世代の人間が多く新入社員として入社してきます。
私たちの教えをなんとなく知識として理解したつもりでわかったような身振りをみせる社員も少なくはありません。
そんな人たちへの説得力としての材料は唯一「実績」でしかないと思います。
同じフィールドで仕事をしながら実績で成果を見せる。
過去の実績ではありません。
今の実績でしか、相手は自分より秀でているという感覚にはならないでしょう。
私はゴルフをしながら常に思う事があります。
先ずはスコア、次にそれ以上の事で相手にリスペクトしてもらえるかが決まるという事です。
これからの時代は特に精神論よりも実力主義に移行していくものだと考えます。
理論よりも実績主義。
そんな競争社会での世の中で、マネジメントを考えた時に、
「人を使い自分以上の成果をあげる為には、常に自分自身も進化し続けないといけない」
という事になるかと思います。
全ての管理職者に問います。
今の貴方は部下よりも会社に貢献していると言えますか?
自分が経営者の立場に立った時に自分と部下とどちらを選びますか?
その問いに胸を張ってこたえられるようにしておきたいものです。
それでは今日も素敵なゴルフライフを!
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