ここでは、雪が降った時のゴルフ場について、現場ではどんな事が起きているのか?これまでの私の経験も合わせてお話します。ゴルファーの方に安全に快適にプレーをしてもらう為にゴルフ場側がどのような作業をしているのかを理解していただけると、積雪後のゴルフ場の見方が少し変わるかもしれません。合わせてプレーヤーとしてゴルフを楽しみたい時に雪がどんな影響を及ぼすのかを少しでも理解してもらえたら幸いです。
目次
【雪について】
先ずは雪について復習しておきましょう。
ありきたりの説明ですが、ここではゴルフプレーへの影響も合わせて考えてみたいと思います。
雪とは大気中の水蒸気から生成される氷の結晶が上空から振ってくる気象状況、またはその氷の結晶そのもの
を言います。
氷の結晶ですから、雨と違い、初めは凍っていてサラサラしているので服や体についても振り払う事ができます。
ですので、
雪が降り始めの時は雨の降り始めとは違い、ゴルフプレー自体は雨の影響よりも少なくプレーできます。
折角ですので、ここで雪の種類について勉強してみましょう。
雪にはその状態と振り方によって違った呼び方があります。
・粉雪(こなゆき)
歌にもありましたね、サラサラとしていて乾燥した雪の事です。パウダースノーとも呼ばれます。
・玉雪(たまゆき)
球形をした雪で、雪のジーズンの初めと終わりによくみられるそうです。シーズン中にこれを見たら、「そろそろ雪も最後かな?」と予測するのも良いかもしれません。
・灰雪(はいゆき)
空中を灰のようにひらひらと舞いながら振ってくる雪です。
これが私たちには一番なじみのある、よく見る雪ですね。
・綿雪(わたゆき)
綿を手でちぎったような形状で大きく水分を含み重みのある雪です。降雪地帯の中でも温暖で多湿な地域に降るようです。
・餅雪(もちゆき)
一部溶解が始まっており、水分を多く含む雪
・べた雪
もちゆきよりも水分が多く、べちゃっとした雪、ぼた雪、ぼたん雪とも呼ばれる。
・水雪(みずゆき)
べた雪よりもさらに溶解が進み水気の多い雪、みぞれと同じ。
以上、単に雪と言ってもいろんな種類があるものですね。
【雪が積もる時のメカニズム】
さて、ここまで雪についての説明を聞いて、しょせんは水なのになぜ積もったりするのか?と疑問に思いませんか。
それは、その時の「気温」と「地温」と「雪の量」に関係しています。
先ずは「気温」
これはご存じの通り、寒くないと雪は積もりません、つまり気温が氷点下でなければ雪は自然と解けていきます。
次に「地温」
地面の温度です、これも気温と同じで地面についた雪も地面の温度が高ければ自然と解けていきます。
しかし、地温が氷点下になってしまうと、地面についた雪は解けずにそのまま積もってしまいます。
最後に「雪の量」です。
実はこれは一番の要因だと言われています。
どれだけ気温が低くても地温が低くても、降る雪の量が少なければ雪は積もりません。
道路の表面を見ていて雪が地面についたときに雪が解けるよりも早く次の雪が降る事によりどんどん雪が積もってくるのを見る事がよくあると思います。
雪の量が増えれば地温も下がっていき、更に雪が積もりやすくなっていくのです。
これを知っているだけでも、雪が降り始めた時に「これは積もるかもしれない」と予測がつきますね。
【雪がゴルフに及ぼす影響】
では、雪がゴルフに及ぼす影響について考えてみましょう。
(プレーについて)
ゴルフボールの直径は42.67ミリ(公認球)とされています。
ですので、私たちがゴルフをプレーするティーイングエリア、グリーン、ジェネラルエリアに雪が4センチ以上積もったらボールはほぼ雪に沈んだ状態になります。
これでは先ずショットをすることは不可能です。
先ほど述べました、雪の最初のサラサラのうちは濡れる事も少ないので、雨よりはプレーしやすいのですが、流石に積もってしまっては、ショットが出来ないだけでなく。ボールを探すのにも時間がかかってしまいます。
コース内に4センチ以上の積雪が確認されるとゴルフ場はクローズを決めたりします。
(安全面)
さてゴルフ場では降雪になると直ぐにコース内の巡回を強化します。
お客様が安全にプレーできているか?
危険な箇所はないか?
時にはお客様とコミュニケーションをとりながら、必要な時にはプレーを中断してお客様をクラブハウスまで誘導する事もあります。
そして安全にその日の営業を終えると次の日のオープンに向けての復旧作業となります。
【復旧に向けての具体的な作業】
さて復旧に向けての除雪作業ですが、基本的には太陽の光と熱で雪が自然に溶けてしまうのを待つのですが、少しでも早くオープンさせるために私たちは頑張るのです。
一応商売ですので(笑)
先ほど言いました、
雪は気温と地温が高くなると解けます。
気温は私たちにはどうしようもありませんが、地温を上げる事は出来ます。
よく、太陽の光が降り注ぎ気温も上がってきているのに中々雪が解けないという現象を見る事があるかと思います。
あれは、依然として地温が低い事が原因です。
地温を上げるためには出来るだけ太陽の光を浴びせるしかありません。
そのために私たちに出来る事は「除雪」になります。
この除雪にはスコップや重機を使って雪をかきわける作業と、融雪剤をまいたりします。
これをするだけでも雪解けが早くなります。
また、一日の中で気温が最も高い時間帯は午後3時頃で、その時間までに残雪があれば翌日の午前中は解けずに残っている可能性が高いと判断します。
そしてこれは芝の上ではなく、カート道路でよくあるのですが、せっかく融雪剤を使って溶かした雪が夜中に氷になってしまう事があります。
この場合は氷を割って除去しなければいけません。
そのままにしておくとカートのスリップ事故などがおきる可能性があり大変危険です。
そんな復旧作業をしながら、オープンに向けた準備をしています。
【残雪がある時のゴルフプレーについて】
このようにゴルフ場ではお客様に安全に快適にプレーしていただく為に除雪作業をして準備をしているのですが、それでも完璧に除雪する事はできません。
それでもラフを中心に所々雪が残っています。
そんな状況で私たちはどのようにプレーすればいいのでしょうか?
それは、
常にFWのど真ん中にボールを打っていけば問題はありません。
とそんな事を言っても難しいので、
残雪のあるラフには打たないようにいつもより慎重にショットする事でしょう。
また、ボールの色も白よりもカラーボールを使用する事をお勧めします。
そして
雪が深い場所や凍結している場祖には近づかない、カートの運転も車の運転同様、スピードを抑えて運転する事。
法面もいつもよりも滑りやすくなっているので、十分気を付けてプレーするようにしましょう。
【最後に】
いかがですか?
降雪、積雪後のゴルフ場でプレーするときはゴルフ場スタッフの苦労も想像しながらゴルフを楽しんでもらえると私たちも仕事冥利に尽きるというものです。
それでは今日も素敵なゴルフライフを!
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