最近のドローンの進化はすさまじく、ビジネスシーンでの活用も多くなり、その市場規模は急速に拡大してきており、これからも急成長することが期待されています、そんなドローン技術のゴルフ場における活躍の可能性を探ってみたいと思います。
目次
ドローンとは何か?
先ずは、ドローンについて解説してみましょう。
ドローンとは無線操縦で飛行する小型の無人機であり、主に娯楽用と産業用の2種類があります。
2015年には航空法第2条22項の改正により
「無人であり、遠隔操作または自動操縦で飛行できる、200g以上の重量の機体」
がドローンの定義とされるようになりました。
ドローンとラジコンヘリとの違いは?
私たちがイメージするドローンとは空中を飛ぶ無人航空機ですね。
広い意味でとらえるとラジコンヘリもドローンのひとつという事が出来ます。
この2つの決定的な違いというのは
「自律性の有無です」
ラジコンヘリの場合、
電波を使って操縦者が遠隔でコントロールするので、その機体の動きは全て操縦者にかかっています。
一方、ドローンの場合は、
GPS、電子コンパス、加速度センサーなどが搭載されており、電子制御の技術によりドローンだけで自律して飛行する事が可能です。
ドローンの機種で最も一般的なのは、そのプロペラの数に応じて
「クアッドコプター」・・4つのプロペラがついたもの
「ヘキサコプター」・・6枚のプロペラがついたもの
「オクトコプター」・・8枚のプロペラがついたもの
などがあり、いずれにしてもドローンは、プロペラが複数ついたマルチコプター型のものが一般的となっております。
これらが普及しているのは
「安定性に優れている」
「プロペラの回転数を変えるだけで前後左右に移動できる」
の2つの利点があるからだそうです。
そして、私たちがイメージするラジコンヘリはプロペラが一つしかないいわゆるシングルローター型であるため、燃料が少なくて済むというメリットがありますが、操作性で難易度が高いという事でしょうか。
ドローンの進化を示す4つのレベルについて
ドローンの性能についてはその飛行レベルに応じていくつかの段階があり、政府の「空の産業革命に向けたロードマップ」では、それらを4つのレベルに分けています。
レベル1 「目視内での操縦飛行」
レベル2 「目視内での自動・自律飛行」
レベル3 「無人地帯での目視外飛行」
レベル4 「有人地帯での目視外飛行」
となっています。
それぞれのレベルでその活用方法が異なっており、
レベル1では、
農薬散布、空撮、橋梁や送電線などのインフラ点検
レベル2では、
空中写真撮影、ソーラーパネルの設備点検
レベル3では、
離島や山間部への荷物の配送、被災状況の調査や行方不明者の捜索、巨大なインフラの点検や河川測量
レベル4では、
都市の物流、警備、災害発生直後の救助や避難誘導、消火活動の支援、都市部のインフラ点検
などを行うことができます。
すでに日本国内ではレベル1~2での運用が行われているそうです。
・物流分野では大手通販サイトと大手スーパーとの共同で離島に食材や救急用品などを届けるサービスを期間限定でトライアル。
・防災分野では人の立ち入りが困難な危険個所における災害状況の把握にドローンが活用されているそうです。
・建設インフラ分野では多くの企業がドローンを使った橋梁、鉄道、建物などの点検をビジネスとして展開。
・エネルギー分野では太陽光発電所などの広大な土地をドローンの巡回により人に代わって点検できるようになっています。
今後、レベル3~4の目視外飛行が実用化されれば、ドローンは点検や配送といった業務を私たちに代わってその役目を担い、深刻化する人手不足を解消する事でしょう。
AIと5Gによるブレイクスルー
・5Gによりドローンで大量のデータがやりとりできるようになります。
・データが大量に取得可能になると、ドローン自体の遠隔、自動操縦の精度も向上します。
・さらにAIを活用する事により、ドローンと5Gによって生成される大量のデータを効率的に処理する事が可能になります。
ゴルフ場での夢の活用法
さて、ここまでドローンの事を知ったら、これらの特性をゴルフ場で活用したくなるのが、自称シンギュラリタリアンの私の悪い癖。
もちろん、採用するドローンはレベル4で5GとAIをフルに活用して働いてもらうつもりです。
コースチェック
これは既にあるゴルフ場では実用化されていると聞いています。
コース管理とラウンド管理の両面からチェックする事が考えられますね。
・コース管理作業の一環としては、上空からコースの状況を空撮した画像をAIが分析して問題がある個所についてフィードバックします。
コース管理スタッフのいつもの目線とは違う上空からの全体像を確認する事で、また違う気づきがあると思いますし、人間の視覚やバイアスに捕らわれない、AIの科学的な分析に基づく評価はきっと精度の高いものだと思います。
・ラウンド管理作業の一環としては、今でもGPSカートナビからの情報を元にした運行監視システムでコース内のカートの運行状況は確認する事は可能です。
ですが、いまのところそれはモニター上ではコース内の静止画上にカートの形をした絵が動いているのが見える程度でライブ感が全くありません。
ドローンからの動画を確認する事で、ライブ感も出ますし、カメラの精度があがればプレーヤーのアップや口の動きから会話も解析する事もできるでしょう。
その画像を見ながら、遅延プレーやトラブルが起きているのなら、その原因を素早く察知して適切な対応をする事やマスター室から指示する事も可能でしょう。
コース内の状況レポート
携帯電話のカメラが高性能になり、その日のコース内の様子を撮影し、HP上でアップしてお客様にアピールした事があります。
雨が降っている時、ゴルフ場の周りは晴れていて、その後も天候が悪くなる可能性が低いという前向きな情報。
降雪時にこちらは積雪していなくてゴルフが出来る状況であるという前向きな情報を、発信したりしていました。
これをドローンからの空撮した映像だと更にリアリティがあってお客様にもイメージがしやすいと思うのです。
薬剤散布用や散水
さて、この作業は更新作業時や夏場には必須であり、コース管理においては生命線でもあります。
ですが、お客様がプレーしている時にはもちろんできません、お客様のいない時間帯を見計らって短時間で効率的に行う必要があります。
最も効率的な時間帯はズバリ夜間です。
完全自律型のドローンであればセットされた時間、セットされた場所から飛び立ち、セットされたエリアに薬剤散布や散水を行う。
そして、AIカメラを搭載したドローンがその後の芝の状況を分析評価する。
この作業が無人で出来るのであれば、薬剤散布や散水作業が効率的に行われコースのクオリティは現在よりも格段にあがることでしょう。
コース内忘れ物対応
これはゴルフ場でのあるあるですが、コース内にクラブをわすれる事がよくあります。
みなさんも経験あるのではないでしょうか?
特にグリーン周りが多く、クラブを事前に数本持っていくケースで頻発します。
ショットをする時にはクラブは1本しか使わないわけですから、使わないクラブを近くに仮置きしてショットする。
そのショットがナイスショットであったり、トラブルになったりして、興奮して、ショット後についつい他のクラブの事を忘れてしまう。
そんなことがコース内のいろいろなところでおきて、そのたびにお客様から連絡がきます。
プレーヤーとしてはクラブが1本たりない状態でプレーするのは嫌なものです。
ゴルフ場としてもその気持ちはよくわかっているのですが、忙しいとなかなか手が回らないときもあります。
そんな時、自動でクラブを運ぶ事は出来ないだろうか?と考える事がよくあります。
そこで、ドローンの登場です!
・先ずはクラブを探す事
これも、コース内のどこにあるのかを上空から捜索します。
クラブなどの無機質の物質だけ識別してみつける事ができるAI搭載ならすぐにみつかるでしょう。
・クラブを回収する
これは遠隔で操作する必要があるでしょうが、まわりに人がいないか?確認したり安全を十分に保つ事が大切になります。
理想的にはそれらの判断もAIが行い、自律して行えるようになったら素晴らしいですね。
・持ち主のところへ届ける
クラブを回収したら持ち主のところへ届けます。
これも今のところ遠隔で誰かが操作する事をイメージしていますが、自律型のドローンに進化して届ける事も可能になるでしょう。
将来的には常に上空をドローンが旋回していて、忘れ物をした時にそれを察知して自動で届けるという、いわゆる
「人間的な気づきとおもてなし」が出来るようになると素晴らしいと思います。
デリバリーサービス
これもゴルフ場あるあるですね。
ゴルフは一度コースに出ると、2時間から2時間30分は物資の調達はできない環境にあります。
コース内で「のどが渇いた」「すこし小腹がすいた」「あっ、ボールがない」なんて事はしょっちゅうある事ですね。
そんな事にならないように、事前にしっかりと準備をしてスタートするのですが、先程の忘れ物のように、人間はミスをするものです。
そこで、ドローンの登場です!
連絡を受けたクラブハウスからお客様の必要とする物資をドローンで配送します。
これで夏場の熱中症やボールが足りなくなることも解消されますね。
ラウンドレッスン
これは、完全に自律したドローンにレッスンプロがのっているというイメージです。
ドローンがレッスンプロ目線でプレーヤーのまわりを旋回しており、プレーヤーのスイングやショットを前後左右、上下から見てチェックするというものです。
もちろんその場で音声を発してAIがコミュニケーションをとりながらレッスンするというのは遅延プレーにもなりますし、まわりに迷惑をかけてしまうので、撮った動画をあとで分析しながら、コースでの自分の悪い癖みたいなところをチェックする為に使います。
これは練習場でいくらレッスンしても本番では結果がでないいわゆる「練習場プロ」のような私にぴったりな企画だと思います。
緊急時の対応
さて、今回のゴルフ場におけるドローンの活躍を期待する私の記事において、これが最も言いたい事です。
『AEDや救急箱を積んだ救急ドローンをコース内上空に常に旋回させておく』
というアイデアです。
これには様々なクリアしなければいけない法整備とかあるかと思いますが、なんとか実現したいものです。
ゴルフコースというのは楽しくゴルフプレーをするという爽やかなイメージがありますが、その裏には、危険なこともたくさんあるのです。
池やクリークと呼ばれる小川、急な傾斜面、猛毒を持つ害虫や害獣が潜んでいる事もあります、夏場の炎天下における過酷な状況、冬の積雪による滑りやすい場所、地面の突然の陥没、落雷事故、カート事故、などなど。
一番の問題はなにか不慮の事故がおきたときに速やかに現場に急行できない事です。
私もこれまで何度もコース内での事故に遭遇してまいりましたが、連絡を受けて現場に行くのに時間がかかり、手遅れになった事がありました。
特にAEDを使う場合、
心停止してから1分ごとに救命率は10%ずつ下がる
と言われています。
ゆえに、連絡を受けてから救急車が到着するまでに電気ショック等の処置が出来るように施設にはAEDが常備されているのですが、ゴルフコース内でおきた場合、10以内にはAEDを使った処置が出来ないケースが多いのです。
そこで、コース内を救急ドローンが常に巡回していて、連絡が入ったらすぐに現場にAEDを運ぶという事が出来れば、ゴルフ場内での最悪の事故を減らす事ができるでしょう。
もっと、進化したケースを想像すると、上空を旋回しているドローンがプレーヤー一人一人の健康状態をチェックしており、何かおこりそうな予想をして、事前に事故を防止する。
又は、プレーヤー全員が腕時計のような健康チェック用のデバイスを携帯しており、そこから転送されたデータをドローンが解析して、予想をして未然に事故を防ぐとかできたら素晴らしいと思います。
最後に
いかがでしょうか?
私たちの移動ルートというのはまだまだ二次元的なものに限定されていると感じています。
道の上を走る事しか自由に出来ていません。
たとえば飛行機を利用するなど、時間とお金をかければ空中を移動する事もできますが、そこには自由はありません。
今、私がこうして記事を書きながら窓の外にある家の人に何かを届けようとしたら、階段を下りて、道路をあるいて、家のまえの玄関でノックしなければ到達できません。
空中を飛べたら家のベランダから直接相手のところに行く事ができます。
時間も距離も短縮できて、世の中も変わっていくでしょう。
それでは今日も素敵なゴルフライフを!
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