ゴルフ場開発事業を進めていく中でよくある「この時期にゴルフ場を新規で開発してホントに大丈夫なの?」という質問に対してのアンサーをまとめています。
今後のゴルフ場業界全体に対しての未来予測や勝算を見込んだ事業戦略として、私も自信をもってプレゼンしている内容となっていますので、ぜひ一度読んでいただき参考にしていただけたら幸いです。
目次
ゴルフ場開発の狙い
異なる3つの目線から感じられる実行メリット
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事業者目線として
これからのゴルフ場をとりまく業界全体について需要と供給を考えたときに、誰もがその両方が増えていくということは考えていないと思います。
確かに日本国内で続く人口の減少傾向からゴルファーが今より増えるということは現実的ではなく、ゴルファーも減少していくというのがおおかたの意見とされています。
ゴルファーが減少していくと供給側であるゴルフ場もそれに伴い減少していくと考えられます。
ゴルフ場が閉鎖する要因としてはゴルフ場運営側の企業体力がもたなかったということやゴルフ場としての土地を他の事に活用する道を選ぶとか、自然災害や突発的な大規模災害によりその土地がゴルフ場として利用できなくなったときとか、様々なことが考えられます。
中でも企業体力がもたないということは収益性が保たれなくなって、それを補填する為の資金を調達することもできなくなって閉鎖する、もしくは身売りを考えて交渉するものの、買う側もメリットを感じられずに話が頓挫するケースなどがあります。
収益性が保たれなくなる一番の要因は
「必要な来場者数が確保できなくなる」
ことでしょう。
2023年の調査では今の日本国内には2,123コースのゴルフ場が存在するそうです。
昨年に比べると9コース減少、過去一番ゴルフ場が多かったのは2004年の2,356コース、それからの20年間で10%近くのコースが減少したことになります。
特に2008年以降は16年連続の減少で2011年の東日本大震災以降は減少傾向が加速し199コースが減少しています。
このゴルフ場減少傾向がそのまま続き最後にはゼロになるのでしょうか?
その可能性を否定はできませんが、それまでの期間というものはかなりの時間を要するものであり、途中で何かしらの大きな変化がない限り考えにくいと思うのです。
今、いえることは、
『これからのゴルフ場はゴルファーによるふるいにかけられ淘汰されていく』
ということでしょう。
そんな中で新規でゴルフ場をオープンさせて勝ち組になるという逆転の発想に至るには、それなりの勝算がないとできることではないということがお分かりかと思います。
ゴルフ場マーケティングにおいて重要な点は以下の3つ
①ポジショニング、②ポテンシャル、③パフォーマンス
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ポジショニング
ポジショニングを考えるときに私は大きく2つに分けています。
一つは、物理的なゴルフ場が位置する場所、もう一つは近いエリアにある他のゴルフ場と比較したときに何番目に位置するのかということです。
物理的なゴルフ場が位置する場所としては、現在各都道府県別でゴルフ場の数が多い順に1位千葉県、2位兵庫県、3位北海道、4位栃木県、5位茨城県となっていて、100コース以上がある県はこの5県となります。
やはり大都市圏に隣接してなおかつ住居以外の土地が多くある場所、
とくに広大な関東平野に位置する関東圏にはゴルフ場が多く存在しています。
これだけを見ると、そこにゴルフ場をオープンさせたら楽勝ではないかと思いがちですが、そのエリアはもうレッドオーシャン(競争が激しい既存市場)となっています。
私自身も以前このエリアでゴルフ場マーケティングを経験していますが、ライバルコースも多く大変苦労したことを覚えています。
ゴルフ場を新規でオープンして勝ち組になるためにはレッドオーシャンの対義語である「ブルーオーシャン」を探す必要があります。
そしてもう一つのポジショニング(他コースとの比較)についても、他コースよりも魅力あるゴルフ場を作るためのアイデアが必要となるでしょう。
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ポテンシャル
ここから説明するポテンシャルとパフォーマンス、この2つの要因によって上のポジショニング(他コースとの比較)が上位にくるかこないかが決まります。
ポテンシャルにはそのゴルフ場が提供するサービス、すなわちゴルフ場としての商品価値が含まれており、これが大きな決め手となってきます。
私の中でのゴルフ場サービスとは「コース」「レストラン」「ショップ」「プレーバリエーション」になります。
・コース管理業務においては最新のIT技術を利用しながら効率的な作業を行い、他社を凌ぐコース状況にする。※参考記事
・レストランにおいても原価率にこだわらず、常に良い食材を使い、いい料理を提供する。
・ショップについても他社にはない個性的な商材を揃えて差別化を図る。
・プレーバリエーションについても収益性のみを重視したセルフ一辺倒になるのではなく、高齢者にも安心してプレーできるキャディ付きプレーも提供できるようにする。※参考記事
そのような企業努力をして商品価値を上げていくことが重要だと思うのです。
そしてもう一つ、大事な要素といえるのは『メンバーの質』です。
プレー代が安く、メンバーの入会金、年会費が安いコースにはステイタスよりもプレーそのものを安く楽しみたいというメンバーが集まってきます。
ゴルフ場側も会員ビジネスとしての収入が少ない分、ビジターへの販売を余儀なくされるので、高稼働へと走らざるをえなくなります。
そんなゴルフ場では常にメンバーから「詰め込みすぎだ」とか「メンバー料金とビジター料金が変わらないではないか」とか「コース状況が悪い」などのお叱りを受けてしまいます。
不平不満を口にするメンバーが多く、それが『質が悪く見える』のはそもそも低料金で販売をしている事に原因があり、「売る側には料金に見合ったサービス」という考え、「買う側にはゴルフ場としての当たり前のサービス」という考え、この両者に隔たりがあるからなのです。
ここでの価値観の違いについても、これからの時代がどのように変化していくのかをしっかりと見極めていく必要があるのです。
今、私が痛烈に思うのは、高い料金のゴルフ場に属するメンバーはそのような価値観の違いを感じることなく快適なクラブライフを送っているので、上記理由により『質が高く見える』ということです。
この『質が高く見える』メンバーが多く属するゴルフ場および系列の会社には同じような質の高い人たちが集まり、ビジターも安心してプレーすることができ、結果として比較的高い料金でもビジターが来場してくれるゴルフ場になると考えます。
新規でオープンしたゴルフ場でも将来的な事を考えると高い料金で会員権を販売し、年会費も相応に設定する必要があるでしょう。
そして、
それに見合うサービスレベルを追求する企業努力をゴルフ場はするべきでしょう。
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パフォーマンス
このゴルフ場のパフォーマンスこそが、ゴルファーに評価され必要来場者数を確保できるか、できないかを判断する最も重要な要素とあると言えるでしょう。
これからのゴルファーが何を求めていくのか?
今は安くてもただゴルフができればいいという人に支えられて成功しているケースもありますが、ゴルフというスポーツ、ゴルフという娯楽に対して求めていることをしっかりと見極める必要があるでしょう。
そんな中で、私が感じているのは『コスパの基準値が下がってきているのではないか』ということです。
サービス業においてのコスパは定量的に判断することが難しく、お客様の主観的かつ感覚的なものとしてしか評価されることはありません。※過去の関連記事参照
それは、プ
レー代を決める側がマーケティングとして感覚的に料金を決めているからなのです。
ゴルフ場の料金はその商品価値と料金のバランスではなく、時期とタイミングこそが料金決定の要因となっているからなのです。
そのような料金決定の背景の中で、コスパの基準値をユーザー側が過去の状況と比べる傾向があるとそこにも溝が生まれてしまうのです。
「以前はいくらだったのに、今は高くなっている」「以前のビジター料金は今のような安さではなかった」というメンバーからのお叱りを受けるものでした。
以前お話したレベニューマネジメントの思想からいうと、ゴルフ場の料金はその日の需要の強弱に応じて設定するのは最も効果的という考えなので、以前と比べて需要が変化していれば料金は変化して当たり前なのです。
食品がその時期の生産量に応じて変化するのと同じ原理なのです。
ところがユーザー側からすると目に見えない需要に左右されるのではなく、目に見える商品価値の変化により料金が決定されるほうが納得しやすい傾向にあります。
この双方の認識の違いによる溝を埋めない事には、コスパが高いという共通の認識は生まれてこないでしょう。
理想とするのは、売る側も買う側もコスパが高いと思わせるような商品と料金を作って提供することではないでしょうか。
今回私が取り組んでいる開発事業にはそのエッセンスが盛り込まれています。
完成する予定のクラブハウスやゴルフコース、関連施設に関しては、設計からそれなりのコストをかけて計画を進めています。
目に見える形での高品質な商品価値。
これにユーザーは納得して購入し、満足してくれる。
ユーザーからすると贅沢かもしれないが日々頑張っている自分へのご褒美的なラグジュアリーな感覚を提供する。
これからはそれが実現できるゴルフ場こそがハイパフォーマンスなゴルフ場と言えるのではないかと私は考えています。
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地方経済目線として
さて、新しくゴルフ場や商業施設を作るとなると、その周辺の人の動きがあわただしく変化することになります。
そこを目的として訪れる人はもとからですが、そうではなく道中にあるその施設を休憩や調整のために利用する人も新たに出てくることも考えられるでしょう。
例えば、高速道路において時間帯と場所によっては常に自然渋滞がおこることがあります。
そこを行楽や仕事で通行する人にとっては、その渋滞を回避するために、時間帯をずらしたり、途中で高速を降りて下道を通ったりすることがあります。
そのような状況が予測されるだけで、高速道路を使って遠出をしたりドライブしたりすることを控える人も中にはいることでしょう。
そんな、ドライバーにとって、高速のインター近くにゴルフ場を含めた複合施設があるというのはサービスエリアと同じくらいありがたいものになります。
開発をする場所によっては、そこに人を集めるだけではなく、そこを通行する人への負担を軽減して、より多くの人たちの経済活動をサポートする意味合いもあると思うのです。
「高速道路の利用者と交通量を増やすこと」
それはすなわち、「地方の経済発展と活性化」へとつながると私たちは考えています。
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地域社会目線として
魅力ある施設を作りイメージアップをはかる。
そこを目指して遊びに来る行楽客をつくることで周囲から人が集まるような地域にする。
・魅力ある施設をつくることで若い世代の人が働きたいと思える場所をつくり地元採用による雇用を創造する。
・故郷に誇りと愛着を持つ若者が増えることにより人口減少に歯止めをかける。
これは地元の地権者の方々との話の中で最も重要なことだとあらためて感じることです。
開発をすすめているエリアは人口の減少にともなう行政の財政難にも直面している様子で、本来やるべき公共サービスが提供できていない状況にあると言われています。
そのような問題を抱えている地方自治体は他にも多くあり、大都市への人口の一極集中化、地方の空洞化の傾向は今後の続くものと思われます。
これは私の主観ですが、コロナの影響とIT化のビジネスモデルの発展で一時期は地方で生活しながら仕事をする人が増え、地方に住む人が増えましたが、やはり、身近に商業施設や文化施設がない環境だと住人としては満足しないのだろうと思うのです。
なぜ「若者が地元に残らず都会に出ていく」のか、「優秀な人はみんな外に出て行ってしまう」のか、「自分たちの子供や孫が久しぶりに故郷に帰ってきたときに誇りに思える場所でありたい」地域住民の人たちはみんな真剣に考えています。
そんな地域住民の方々の思いを同じくして、
今私もそこに住みながら、自分たちの住む町を発展させるためには、自分たちから行動をおこし、それを続けることが大切だと考えています。
それでは今日も素敵なゴルフライフを!
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