ここでは現在ゴルフ場開発事業に従事している私の主に仕事やプライベートでの日々の気づきを記事にしています。
「ゴルフ場開発者の備忘録」は開発に伴う専門的な記事になりますが、こちらでは少しソフトで雑談的な話題を含めて私目線でお話が出来ればと思っています。
最初の記事にするのは、最近、新聞紙面上でも発表になりました『ゴルフ場開発の規制緩和』について話をさせていただきます。
目次
【ゴルフ場開発の規制について】
ゴルフ場の開発に関して、先ずは開発行為の定義を抑えておきます。
・開発行為とは主として①建築物の建築②第1種特定工作物(コンクリートプラント等)の建設③第2種特定工作物(ゴルフコース、1ha以上の墓園等)の建築を目的とした『土地の区画形質の変更』の事をいいます。
・許可をするのは誰か?といいますと、都道府県知事、政令指定都市の長、中核市の長、および地方自治法252条の17の2の規定に基づく事務処理市町村の長となっております。
現在、私が携わっているゴルフ場開発予定の地域では1973年に「県ゴルフ場等造成事業の適正化に関する条約」という条例が制定されています。
更にそれに関して1985年に設けられた総量を規制する運用基準では、各市町村の面積の2%を上限とされています。
これによりゴルフ場の新たな建設や増築に基準が適用され、県内の約4分の1の自治体は現在、ゴルフ場の開発ができない状況にあり、
県内では2000年を最後に、条例が運用される5ha以上のゴルフ場は新設されていません。
これに対し、
今般県知事の方からゴルフ場について市町村面積の2%以内とする総量規制を引き上げ、現行条例の規制で新規開発や増設ができない約4分の1の自治体でゴルフ場開発を全県的に解禁するというゴルフ場の造成の設計基準などを定めた条例を改正する方針が明らかにされました。
【規制緩和に至った背景】
さて県知事はなぜ、このような規制緩和に踏み切ったのでしょうか?
その理由は2つあると考えられます。
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技術の進化
ゴルフ場開発が悪と言われていた時代から時は経ち、技術は驚くべき進化を遂げています。
ゴルフ場開発が悪と呼ばれていた理由には「環境の破壊」と「災害への不安」があげられていました。
それが今では、
使用する農薬も自然に優しいものになっており、ゴルフ場コース管理業務における農薬使用においては綿密な使用計画を策定して行政に提出する義務もあり、以前のような使用農薬による自然破壊の心配はほぼ無くなってきております。
また、
擁壁の工法についても造成面積を小さくしたり、工期を短くしたりできる工法が確率されている事を踏まえ、盛り土規制法に定められた基準を運用して事業者の選択肢を広げ造成のハードルを下げる事も可能になっています。
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ゴルフ場による地域経済の振興
皆様ご承知の通り、2020年以降ゴルフは新型コロナ禍に屋外で密集を避けてできるスポーツとして注目を集め、需要が拡大してきました。
コロナ禍の収束に伴い、かつてほどの需要とまでとはいきませんが、その時に新たにゴルフを始めた人や、ゴルフを再度やり始めた人によって今後も一定の需要は保たれるものと予測されます。
※そんな中でどのようなゴルフ場がマーケット的に受け入れられるのかという事については詳細に説明した過去の記事がありますのでよければ参考にしてみて下さい。
県知事は地域振興につながる新たな施設整備などを呼び込む狙いもあると思われ、
「最近の経済状況は以前とは異なる」
と説明、環境に配慮しながら経済開発を進める必要性を指摘し、
「経済開発の先に県民の生活があり、生活の維持、向上のためにどう工夫を凝らすかを考える時代になってきている」
と述べていました。
【規制緩和を受けて】
まさに今自分たちが取り組んでいる開発事業に対しての追い風となる話題となりますが、正直、あらためて引き締まる思いになりました。
ひとえにゴルフ場新規開発と言えども、それには開発予定地となる土地の所有者の方々や地元住民の方々、地元有力者の方々、開発予定地を管轄する行政の方々、公図作成から測量設計を依頼する業者の方々、相続や名義変更に伴う書類の作成を依頼する行政書士の方々、様々な調査や法務的な相談をお願いする顧問弁護士の方々、など多くの人たちの理解と協力がないと出来ない事だと改めて認識しているところです。
今回の開発事業に携わり約半年が経ちました、今のところ計画は自分の思っていたスピード感で進行しているように感じています。
これから地権者との具体的な土地交渉も行っていくのですが、情報の伝達にはミスの無いように慎重に取り組んでいかなければと考えているところです。
自分のキャリアからすると今回の事業に関しては素人であり、一から勉強しながら取り組んでいかなければと考えています。
社会人一年目の頃は仕事に対して「質よりスピード」でした、どうせ若いうちは質の高い仕事なんてできなくて、失敗してでもハイスピードで量をこなせていけばベテランと同じくらいの仕事が出来ると考えていました。
しかし、
今はスピードよりも質を重視した仕事にシフトしています。
それが今回の開発事業に取り組む正しい自分の姿勢ではないかと考えています。
それでは今日も素敵なゴルフライフを!
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