これからの『もっとゴルフ』ではゴルフ場の開発に関する知識と話題を私の実務を通して詳しくレポートしていこうと思います。
地権者との土地交渉(買収や賃貸)交渉から始まり、行政機関への許可申請から認可、ゴルフコースの造成、クラブハウスの建築、その他付随する施設の建設などなど、ゴルフ場が出来上がるまでには様々な物語があり、長い時間と資金を投下して多くのゴルファーに喜んでもらえる場所を作り上げていきます。
ひとえにゴルフ場の開発といっても、その開発業者の利益追求の為だけではありません。
確かにゴルフ場を一つ開発する目的は、会員権を販売し、お客様に来場してもらい、開発に要した資金を回収しそれ以上の利益をあげることにあります。
その企業活動をする一方で、ゴルフ場の開発には『そこに人が集まる』という大きなメリットが享受される事になります。
これは、
・そこで働くスタッフを地元採用する事による雇用の創出。
・そこに地元以外からお客様が集まる事による地域の活性化。
・納税による地方行政への貢献。
・非管理地で荒れ放題であった原野や山林を有効活用する事による景観のアップ。
・地元住人が誇れる企業である事で若者の地方ばなれを抑制し地方の過疎化を防ぐ。
・そしてゴルフ場などの広大な土地を活用する事業の場合、有事の際には防災や避難場所としての活用も見込まれます。
などなど、他にも多くのメリットがありますが、これだけのメリットでもとても魅力的な取り組みであるという事が理解できるかと思います。
これを読み、またゴルフ場に行くときの一つの楽しみにしてもらえたら幸いです。
目次
ゴルフ場開発に携わるようになったきっかけについて
先ずは、私が新規でのゴルフ場開発に携わるようになったきっかけについてご説明させていただきます。
私はこれまでに金融会社、広告代理店、調査会社、ゴルフ場、法律事務所に勤務して様々な経験をさせていただきました。
その中でもゴルフ場運営会社では、6つの県でのべ9つのゴルフ場にてゴルフ場オペレーションを経験してきました。
退職前の2つのゴルフ場では支配人を務め、マネジメントも経験しながら、ゴルフ業界発展の為に尽力してきました。
在職中の功績としての自己評価になりますが、マーケティングや生産性向上の取り組みを通してゴルフを新しい感覚のレジャーとして、敷居を低くし、多くの人たちに楽しんでもらえるようになり、新たなゴルファーを増やしたり、再びゴルフをやり始めた人を増やしたりと業界全体の底上げに貢献出来たのではないかと自負しております。
一方で現在のゴルフ場オペレーションでは既存のハードウェアな部分で、時代にあわせることが大変難しいとも感じていました。
以前も述べましたが、生産性向上の取り組みの中でマルチタスクなどのソフト面での取り組みを推進する事で乗り切ろうと試みてはみましたが、それも働く人の物心両面での負担を増やすだけで、サービス業としての質の低下を招き、短期的な業績のアップは見込めるものの、長期的には安定しないだろうと不安を感じていたものでした。
そんな中、縁あって新規のゴルフ場開発のプロジェクトに参加する事ができ、その活動の中で、これからの時代にマッチした新感覚のゴルフ場(コースとクラブハウス)を一から創りたいという強い気持ちを抱いている次第です。
これから長い時間をかけて作り上げていくのですが、それをリアルタイムにお伝えしていけたらと思います。
先ずは初回という事で、私個人として『将来的に目指したい理想のゴルフ場』についてお話させていただきます。
『将来的に目指したい理想のゴルフ場』
今回の開発については最低でも8年間の期間を想定しています。
土地の交渉と行政からの許認可が完了するまでが約4年、工事を着工してゴルフ場が完成するまでが約4年というイメージ。
そこで考えるのは今から8年後のゴルフ場を取り巻く環境の変化を見通していなければいけないという事でしょう。
『8年後のゴルフ場』
みなさんはどんなゴルフ場をイメージしますか?
西暦は2034年、令和14年
私たちを取り囲む社会環境はどのように変化しているのでしょうか?
ゴルファー人口は間違いなく減っていくでしょう、今はどこのゴルフ場でも来場する人の年齢層は高齢者となっています。
以前から言われていますが、今のコアなゴルファー層が高齢によるリタイヤで全体的なゴルフ人口は減少していくとの予測があります。
一方でその人たちがこれまでのようなペースでゴルフをリタイヤしていくとは考えにくく、ゴルフ場や業界全体で、高齢者でもゴルフを楽しめるようにする努力と、医療技術の発展による長寿化もあって、体が元気なうちはまだまだゴルフを楽しめる人も多くなり、少なくともあと8年後にゴルフ人口が激減する可能性は少ないと思われます。
こういう高齢者の方へのゴルフサービスはこれまでと変わりはない、むしろ変えない方が良いと考えるべきでしょう。
これから新感覚のゴルフが登場しても、それにはなじんでもらえないかと推測されます。
問題はZ世代を中心としたこれからの若い世代の人たちにどのようにゴルフを楽しんでもらえるか?そしてその人たちが今のゴルフを楽しみどのように進化発展させていくか?その道筋を私たちは示していく事がこの先、ゴルフが永遠にレジャーとして、スポーツとして繁栄していくかのキーポイントになろうかと考えるのです。
ズバリこれからの高齢者とZ世代にゴルフサービスとして共通して重要だと思われる事は、『質』だと考えます。
安くてシンプルなゴルフサービスを提供し続けていくと、業界側にはアイデアが浮かばなくなり、プレーヤーは飽きてしまいゴルフゲーム自体が無くなってしまうと危惧するのです。
特に人口自体が減り続けていく我が国日本国内においては、低単価高稼働による薄利多売式の運営では間違いなく立ち行かなくなってしまうでしょう。
デフレスパイラルもそこをつけばいずれインフレの兆しも見えてくるでしょうし、事実、物価は上昇を続けています。
そのような世の中の流れの中では、少々高くても質の良いものを購入するユーザーが増えてくると考えます。
そこで私の予測としては8年後のゴルフ業界は高品質高単価な運営が勝ち組になっていると思います。
ゴルフでいう高品質とは、
・人的物的サービスが良い
・コース(レイアウト、ロケーション、クオリティ、コンディション)が良い
・クラブハウスが良い
・アクセスが良い
・そこにいるとラグジュアリーな感覚になれて癒される
そんなゴルフ場であると勝手に定義しています。
そしてそれらを可能にするために必要最小限かつ不可欠なものは「適正な稼働」になります。
ゴルフ場サービスを商品として販売して利益を出す、それも最速でと考えた場合、どうしても低単価高稼働のオペレーションに走りがちになります。
そして、シンプルサービスを推進して原価を圧縮して利益をだす。
ある意味それは中毒のようなもので、比較的容易に出来るものなので、私も以前はそのような環境の中で先頭を切ってやっていたものです。
流石にコスパは良いと評価されますが、メンバーや上質なサービスを好む方からは非常に辛辣なご意見もいただいていたものでした。
そんな経験も積んだあとに、これからゴルフ場の開発をしていこうとしている身としては、今の時点で、オペレーションを含めてどのようなゴルフ場をイメージして取り組んでいこうかと考えた時に、やはり重要な事は「適正な稼働」であり、それにマッチしたコースやクラブハウスであるべきだと考えるのです。
では具体的にどのようなゴルフ場になるのでしょうか?
それは次の記事『将来的に目指したい理想のゴルフ場(仮)』で詳しくお話していきたいと思います。
それでは今日も素敵なゴルフライフを!
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