さて、前回理想のゴルフ場という事で先ずはそこで働くスタッフはどのような人であるべきなのかを説明させていただきました。
あくまでも理想的な姿ではあるのですが、それを実現する為に絶対に必要だと思われる事は2つあります。
1つは『適正な稼働を担保する』事、もう1つは『テクノロジーによる作業の効率化』です。
※以前掲載した「ゴルフ場とAI」に関しての記事も参考にしてみて下さい。
これらが実現して初めて理想的なサービススタッフの配置が現実となります。
なぜそこまで言い切れるのかと申しますと、私のこれまでの経験上、人間としてのサービス提供に対しての限界値を悟っているからだと感じているからです。
現在も過去からするとだいぶ技術も進化してシステム自体も便利で効率的になっています。
以前と比べるとより多くの情報をより早く処理する事が可能になり、これまでより多くの予約と来場者を実現する事が出来ていると感じます。
しかし一方で、バブル全盛期のゴルフ場の供給よりも需要が強かった頃は1コースあたりの売上高は今よりも多い年もありました。
ネットも普及しておらず、電話だけで次回の予約を紙ベースで台帳管理している時代に今よりも多くのお客様を比較的高単価でさばいていたことがあるのも事実です。
つまりこれまでのゴルフ場におけるテクノロジーの進化はスタッフ1人あたりの業務量を減らし、簡素化する事で少人数でも運営が出来るように資金を使い、利益を上げて回収する為に利用されてきたと解釈する事もできます。
いささか辛辣ではありますが、それはこれまでの技術の進化がそれ程でもなかったと言う事もできるでしょう。
しかしながら、ここからの技術の進化は私たちの想像をはるかに超越した質とスピードでその規模は予測さえできないものだと言われています。
その驚くべき技術の進化によってゴルフ場も進化させるためには、今こそ色んな人がいろんなアイデアを出してそれを実現させなければいけないと強く思うのです。
その為の私からの提案は次の通りです。
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目次
キャッシュレスへの対応
これまでのカード決済に加えて電子マネーの活用も増えてきました。
事実、私も財布にはほとんど現金は持ち合わせておらず、支払いは電子マネーかカードでしています。
ショッピングもネットで購入する機会も増え、その際、現金よりもカードか電子マネーの方が迅速に支払いを完了させることが出来ます。
また、
返品する際に清算取り消しして返金する場合でも現金よりも電子マネーなら速やかに処理する事が可能です。
送金や決済するに至っても現金よりも便利です。
ゴルフ場においては未だに電子マネーや携帯で支払いできないところもあるようですが、
8年後には全てのゴルフ場で使用可能となっている事でしょう。
そして、今はまだアマゾンゴーの普及がうまく進んでいないようですが、このシステムは必ずゴルフ場では実装されていると考えます。
理由はコンビニやスーパーよりも導入に伴う障害は少ないと考えられるからです。
ゴルフ場は今でも完全にパブリックなコースは少なく、会員制の運営をしているところが多いです。
メンバーは来場頻度も高く、ビジターでも気に入ったらまたプレーをしに来てくれます。
すなわちリピーターが多いのです。
来場者には様々な理由で必ずチェックインの際に必要な個人情報を頂いています。
これにその人の支払いに関する情報と生体認証に必要な情報をプラスして管理しておけば、クラブハウスのドアを通過した時点で予約データとマッチングしてチェックインは完了され、当日のプランに応じたプレー代を決済できる準備は整えられます。
施設内で食事や追加やショップ商品や飲料品を買う際にも購入機会のある場所には全てセンサーが感知しており、その人の購買活動は全て自動でチェックされ、最終的にクラブハウスを出た時点で金額が確定し決済するようにします。
お客様は「チェックイン」「チェックアウト」「商品購入時のサイン」を行動としてはしなくてよく、スタッフもそれにかかわる業務もしなくていいのです。
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必要な情報を一つのデバイスで入手出来る
やはりそのゴルフ場だけで利用できるアプリを開発運用する事は必要でしょう。
その際の一つのデバイスとしての最有力候補は今のところ携帯電話でしょうか。
腕時計タイプのものか、眼鏡タイプのものか、常に体に装着できるようなものなら更に便利だとは思いますが、現段階では携帯電話が一番現実的だと思い、携帯での運用を考えてみます。
携帯アプリを利用したサービスはもうすでにあるゴルフ場では運用しているようです。
そこでは、予約内容が携帯で確認できて、リアルタイムで他の同伴者がチェックインしているのかがわかるようになっているようです。
8年後のアプリはというと
クラブハウスに入った瞬間にチェックインが完了した事のお知らせがアプリから通知されると同時に、当日に使うロッカーの番号と、鍵をあけるためのワンタイムパスワードが表示されます。
このロッカーは荒らされる危険性はないものである為、貴重品も全てロッカーにしまえます。
そして当日の予約内容(スタート時間やスタートコース、プレースタイル、プラン内容、サービス内容など)が確認出来て、何か不明な点があればアプリ上でチャットによる質問で素早く正確に返事が来る。
同伴者のチェックイン状況もリアルタイムで確認できて、全員のチェックインが完了したら、カート番号が表示される。
また、アプリは現在の位置情報をオンにする事と③により、同伴者の誰が今どのあたりにいるかという情報を得る事が出来て、スタート時間前に探したり間にあわなかったりする事もない。
⑤によりスコアはアプリ上で管理出来て、入力も自動でされており、自らは承認するだけで良い。
更にコンペの際のリアルタイムでの順位表とスコア集計に加えて、アプリに登録されて承認された当日一緒にプレーしていない仲間にもスコアを開示する事が出来る。
⑦によりレストランでのメニューは食事の前にあらかじめ決める事も可能で、前半終了時には後半スタートの時間が表示される。
マスター室で後半スタートの紙を受け取る事もなければ、マスター室スタッフがその業務をする事もない。
全ての情報は携帯電話から入手するので、カートには人数分の充電装置が設置されており、レストランのテーブル、休憩室のソファーにも携帯充電装置は設置されている。
この頃にはカートに備え付けのナビシステムは無くなっていると予測されます。
理由はプレーも場内での行動でも必要な情報は全て携帯電話から入手するので、わざわざ情報を得るためにカートまで戻る手間が省けるからと考えるからです。
このように必要な情報は全て携帯電話のアプリで入手して活用する事が出来ます。
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スムーズな行動パターンの実現
さて、スムーズは行動パターンとは、
場内で迷ったり、人を探したり、忘れ物をとりに戻ったり、目的地がわからなくなったりする事なく、必要最小限の動きで目的を達成出来る事を言います。
その為に必要なのは、自分の今の位置と目的地との関係を素早く理解出来る事ではないでしょうか?
②で説明した、アプリ上で自分の位置情報をオンにする事に加えて、場内の至る場所にセンサーを設置して、その人の現在の位置を正確に把握してアプリに反映させることが必要です。
クラブハウス内にはもちろんコース内ではティイングエリア、グリーン周辺、茶店、トイレ、被雷小屋などのポイントにセンサーを設置して、上空からはドローンによる追跡も行い、プレーヤーの位置情報を正確に把握してフィードバックする事で、スムーズな行動が可能になります。
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駐車場問題
ゴルフ場の駐車場では様々なトラブルがおこります。
当日の来場者数がキャパをこえており駐車スペースが足りないというトラブル。
先ず、
現在このような問題を抱えているゴルフ場は今のうちに何かの対策を講じないと8年後には衰退する可能性は高いと言えます。
トラブルの原因が低単価高稼働に走りすぎてオープン当初に想定した最大キャパをこえる来場者を確保しないと目標とする数値を達成しない体質になっている場合が多いからです。
このような体質だといくらハイテクを駆使したところで問題の根幹を改善する事は困難でしょう。
ゴルフ場まで行くまでの乗り合わせ等による解決策についてはテスラの提唱するライドシェアなどにより、適正な台数での来場は実現可能かと思われます。
ライトのつけっぱなしによるバッテリーがあがってしまうトラブル。
これも8年後には車の性能アップにより何かしらの防止策が講じられている事でしょうが、ゴルフ場側としては、気付いてもお客様に案内してもプレー中であれば伝える事が難しいのが現実です。
これらの緊急の連絡網としても携帯アプリによる一斉送信などを利用してピンポイントに伝える事が可能でチャットを使う事で、該当者とゴルフ場側で速やかに連絡をとる事も可能になります。
また8年後には空飛ぶ車も登場しており、駐車場ではなくヘリポートのようなスペースが必要かもしれません。
そういった発想に基づく駐車スペースの構想も今の段階から準備しておかないと、せっかく新しい施設を作っても無駄になる可能性があると思われます。
あらゆる可能性を予測して対応可能な汎用性のあるハードウェアを作っておくべきでしょう。
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コース内でプレー中に起きる様々な事案への迅速な対応
プレー中におこるトラブルの一つに、コース内での忘れ物があります。
ショットの度にクラブは1本ではなく数本持ってボールのある場所に行き、ショットが終わるとカートに戻る事を繰り返すうちに、クラブを忘れてしまうものです。
プレーヤーはなんとかならないかと、ゴルフ場のマスター室に連絡をいれて助けを求めます。
スタッフもすぐに対応できる場合とそうでない場合もありますし、後続組のプレーヤーが拾っているケースもあるので、クラブ等のコース内での忘れ物の対応には苦労するものです。
8年後のゴルフ場では1ホールあたり1台くらいの割合でドローンが空中に待機しており、そんなプレーヤーの動向をチェックしています。
携帯アプリと連動して情報をリンクさせているので、忘れ物をした場合、直ぐにその人の携帯にアラートで知らせます。
スコアも管理しており、スコア集計もリアルタイムに携帯で確認出来て、プレーヤーはホールアウト後にそれを承認するのみの作業となっています。
同伴プレーヤーとも共有されているので、それはブロックチェーン技術も使いながら、最終のスコアとして競技でも利用される事になるでしょう。
そして、コース内での不慮の事故等に関しての対応も速やかに情報が共有され、救助率を格段にアップさせます。
現在のように、事故が発生してゴルフ場に連絡をしてゴルフ場から救急車などを手配するのではなく、ドローンが状況を判断し、必要であれば直接救急車の手配とAED等の手配もする事で救助率があがります。
コース内にドローンが常駐している事はマストであると考えます。
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コース管理業務の効率化
ゴルフ場にとって、コース管理作業とは正に単純ではあるがとても重要で、それは絶え間なく続ける事が理想とされる業務です。
既に自動芝刈り機を運用しているゴルフ場もありますが、8年後には更にドローン技術とも連動して、精度の高いコース作業を効率よく行う事が可能になっているでしょう。
今は人間による作業である為、人間の活動可能な時間でしか作業は出来ませんが、ドローンと自律運転機能付きのコース作業車がAIを駆使して24時間、プレーヤーの邪魔になることなく散水、芝刈り、施肥、着色などの作業をする事で、常にハイクオリティなゴルフコースの実現を可能にします。
また、
ドローンによる視覚的な判断と、コース重機の接触した判断により、芝の状態を分析し、最適な処方箋で対処する事も可能でしょう。
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レストランでのオーダリングシステムの効率化
ゴルフ場の食事というものは正直、街のレストランや飲食店に比べるとコスパは悪いものです。
一番の要因はオーダーを受けてから提供するまでの時間に制約がある事です。
基本的にオーダーを受けてから7分以内に提供する事を想定してメニューを構成するが故に比較的、メニューの数は少なくならざるをえません。
それに加えて、食材原価率も一般の飲食店と比べるとかなりおさえられてしまい、比較的高品質なメニューを提供するのは難しくなります。
そのあたりはプレーヤーも理解(なかば諦めている?)しているので、ゴルフ場の食事にはそれほど期待をする事はなくなっています。
しかし、
8年後のゴルフ場のレストランは今よりも圧倒的に進化している事でしょう。
私の考えているビジョンは2つあります。
1つは今のウーバーイーツのシステムがドローン技術とのコンバージェンスにより更に進化発展してゴルフ場まで気軽に配達出来るようになっている。
もう1つは3Dプリンターの進化により、携帯から発注する事で目の前で調理され提供される。
この2つにより、世界中の全ての食べ物が、気軽に、待ち時間なく、快適に提供される事が可能になるでしょう。
このようなシステムは先ずはゴルフ場や街のレストランで実用化され、後に一般家庭でも普及していくものと予想されます。
もうその頃は配膳ロボットなんてものは過去の産物になっている事でしょう。
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コース状況のリアルタイムな情報共有と案内
ゴルフは天気に左右されるスポーツです。
流石にどんなに技術が進化しても、都合のいいように天候をコントロールする事は不可能だと思われます。
最新のAI技術によると、これまで1時間おきに予測していた天気予報をもっと短いスパンで予測できるようになり、予報の精度が大幅にあがるとの事です。
天気予報の精度があがると、プレーヤーの判断もとても楽になります。
その高精度な天気予報システムとドローンから発信されたコース内の状況とをリンクさせて、その時とその後の予測を含めたコース状況をプレーヤーは認識してプレーするかどうかの判断をします。
当日のスタート時間を調整したり、ゴルフはキャンセルして他の予定を入れたりと、その日いちにちを無駄にせずに過ごす事が可能になるでしょう。
そもそも天候には勝てないと言いましたが、全天候型のゴルフ場が出来れば問題は解決します。
それは⓽で説明します。
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ゴルフ場ならではの広大な土地を利用した付帯施設の充実
ゴルフ場の用地は広大です。
一般的に18ホールのゴルフ場で30万坪~40万坪と言われています。
また、
平均的な注文住宅の坪数は1棟で38坪と言われているので、18ホールのゴルフ場内には約7,894棟以上の住宅が出来ます。
よく例えられるのが、東京ドームとの比較ですが、これも東京ドームが約14,217坪ですから、18ホールのゴルフ場内には東京ドームが約21個以上入るという計算になります。
これだけの広大な施設に屋根をつけて全天候型にするのは現実的ではないでしょう。
また、1ホール毎をドーム型にして通路で結んでしまえば良いと考えましたが、天然芝の育成等を考えると、維持管理が難しいかと思われます。
しかし全天候型のゴルフ場は不可能ではありません、要するに雨や雪の日でも「ゴルフ」が出来れば良いのです。
メタバースの世界ではゴルフ場に行かなくても自宅であたかもゴルフ場にいるような感覚でゴルフを楽しむことも可能になるでしょうが、それも⑦のレストランと同様、先ずはゴルフ場で実用化されて後に一般家庭でも出来るようになると予測されます。
そこで私の考える広大な土地を活用した8年後の理想的なゴルフ場の付帯施設に関するキーワードは以下の通りです。
・シュミレーションゴルフ
・温浴施設
・宿泊施設
・キャンプ
・キッチンスタジアム
・スーパーカー展示場
円形のコロシアムのようなスペースの真ん中にキッチンがあります。
そこにはウーバーイーツの配達用のヘリポートがあり、大量の食材もあります。
その周りを囲むように80~100程の部屋があり、全ての部屋ではシュミレーションゴルフが楽しめて、最大4人が宿泊できて、サウナなどの温浴施設も楽しめて、ベランダでは焚火やBBQ、キャンプが楽しめるような作りになっています。
そして部屋からは会員様から維持管理を依頼された自慢のスーパーカーが展示されており、ゴルフ場や自然の景色と一緒に楽しむ事が出来ます。
この施設を完備していれば、
仮に当日雨になっても仲間とシュミレーションゴルフを楽しむ事ができます。
雪などで帰宅できなくても、宿泊する事が出来ます。
有事の際には避難場所としても利活用できます。
ゴルファーだけではなく、それ以外のユーザーにも楽しんでもらえるプラットホームとして、多くの人を来場させ、地域社会に貢献する事もできます。
これが今、私が想像する8年後の理想とする絶対優位性と無双のゴルフ場の姿になります。
これから開発に関わりながらその実現に向けて日々精進していこうと思います。
それでは今日も素敵なゴルフライフを!
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