ゴルフ場開発者の備忘録 Vol.4 ~土地の地目について~

ゴルフ場開発者の備忘録

ゴルフ場開発に関して、どこを開発しようかと決めたら、まずは該当する用地の確保からはじまります。

土地の買収を含めた交渉はゴルフ場開発の始まりであり、とても重要な活動となります。

土地交渉により地権者からの同意を得て開発予定地を確定して初めて行政への申請も具体的にすすめる事が出来るからです。

少しでも迅速にすすめる為に事前に開発予定地として申請をするのですが、その段階では行政の方も忙しいのであまり真摯には受け止めてはくれないのが一般的なようです。

そして開発を予定しているエリアには様々な「地目」というものが存在します。

これが今回のテーマになります。

内容がゴルフとはだいぶかけ離れますが、ゴルフ場開発に関してはこのような知識も必要である為、興味のある方のみ、お読み下さい。

 

先ずは現在、土地の登記簿謄本上には23種類の「地目」と呼ばれるものが存在します。

「地目」とはわかりやすく説明しますと「法律的な土地の種類」という事になります。

広大なゴルフ場用地を開発するにあたり多くの地目が対象となる事があるので、私の備忘録として記載させていただきます。

せっかくなので、この機会に詳しくない人でもわかりやすいように、説明中にわかりにくい言葉があればその説明も加えていきたいと思います。

 

目次

1 『宅地』

建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地

 

2 『田』

農耕地で用水を利用して耕作する土地

  • 耕作:田畑をたがやして作物を植え育てること。

 

3 『畑』

農耕地で用水を利用しないで耕作する土地

 

4 『牧場』

獣畜を放牧する土地をいう。牧畜のために使用する建物の敷地、牧草栽培地および林地などで、牧場地域内にあるものはすべて牧場とする

 

5 『原野』

耕作の方法によらないで雑草・灌木類の生育する土地をいう

  • 灌木(かんぼく):丈が低く、幹が発達しない木本植物。 ツツジ、ナンテンなどの                類で、幹と枝とが区別しにくく、二~三メートル以内のもの。 現在では低木という。

 

6 『塩田』

海水を引き入れて塩を採取する土地をいう

 

7 『鉱泉地』

鉱泉(温泉を含む)の湧出口およびその維持に必要な土地をいう

 

8 『池沼』

灌漑用水でない水の貯留地

  • 灌漑用水(かんがいようすい):田畑を潤すのに必要な水

 

9 『ため池』

耕地灌漑用の用水貯溜池をいう。

 

10 『山林』

耕作の方法によらないで竹木の生育する土地をいう

 

11 『墓地』

人の遺骸、遺骨を埋める土地をいう

 

12 『境内地』

社寺の境内に属する土地で、本殿、拝殿、本堂、社務所、庫裏、教団事務所などの建築物がある一画の土地や参道として用いられる土地をいう

 

13 『運河用地』

運河法第12条第1項第1号又は第2号に掲げる土地をいう。

第1号では水路用地および運河に属する道路、橋梁、堤防、護岸、物揚場、繋船場の築設に要する土地をいい、第2号では運河用通信、信号に要する土地をいう。

  • 水路用地:もっぱら給水の目的で敷設する水道の水源地、貯水池、ろ水場又は水道線路に要する土地
  • 運河:船舶の移動のために人工的に造られた水路であり、河川・湖沼を利用しているものもある。

 

14 『水道用地』

もっぱら(ほとんど全部)給水の目的で敷設する水道の水源地、貯水池、濾水場、そく水場、水道線路に要する土地をいう。

 

15 『用悪水路』

灌漑用または悪水排泄用の水路であり、耕地利用に必要な水路をいう。

※悪水:水田や畑からの排水、あるいは排水できずに作物の生育に害を為す水。 飲用できない水、転じて汚水を指す場合もある。

 

16 『井溝(せいこう)』

田畝または村落の間にある通水路をいう。

※田畝(でんぽ):田の畝の事 畝(うね):畑で作物を作るために(何本も間隔を空けて)細長く直線状に土を盛り上げた所のこと。「用悪水路」と似ていますが、別の地目です。田や畑に水を供給するかんがい用の水路であれば「用悪水路」として取り扱いますが、単に、落とし水や湧き水などを流すための水路であれば「井溝」として取り扱います。

 

17 『堤』

防水のために築造した堤防をいう。

 

18 『保安林』

森林法に基づき農林水産大臣が保安林として指定した土地をいう。

※保安林:水源の涵養(かんよう)、土砂の崩壊その他の災害の防備、生活環境の保全・形成等、特定の公益目的を達成するため、農林水産大臣又は都道府県知事によって指定される森林です。 保安林では、それぞれの目的に沿った森林の機能を確保するため、立木の伐採や土地の形質の変更等が規制されます。

水源の涵養(かんよう):かん養(涵養)という言葉は、ふだんあまり使わない、ほとんどなじみのない言葉です。

辞書によると、「自然に水がしみこむように徐々に養い育てること。」とあります。

「森林が水資源を蓄え、育み、守っている働き」という意味だそうです。

コンクリートで固められた都会では、降った雨のほとんどは、土にしみこまずに、すぐに下水道を伝って川から海に流れ出てしまいます。

森林は、土が“ふわふわ”なので、降った雨はまるでスポンジにしみこむように、ゆっくりと森の土の中にしみこんで、地下水に蓄えられます。そして、少しずつ川に流れていきます。大雨が降ってもすぐに川があふれないし、日照りが続いても川の水がすぐになくならないのは、このためです。

また、雨水は、森林にしみこむ間に、自然の力でろ過されると同時に、自然のミネラルが溶けこんで、きれいなおいしい水になるのです。雨水をそのままコップに受けて飲んでも、なんだか変な味で、ちっともおいしくないでしょう?

飲み水をはじめ、農業用水や工業用水に、きれいで豊かな水は人間の暮らしに欠かすことはできません。

森林は、自然の「緑のダム」なのです。

 

19 『公衆用道路』

一般交通の用に供する道路(道路法による道路であると否とを問わない)をいう。個人の所有する土地であっても、一般交通の用に供される土地は公衆用道路である。

 

20 『公園』

公衆の遊楽のために供する土地をいう。

 

21 『鉄道用地』

鉄道の駅舎、付属施設および路線の敷地のすべてをいう。

 

22 『学校用地』

校舎、附属施設の敷地および運動場をいう。

 

23 『雑種地』

田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、鉄道用地、学校用地、以上22の地目のどれにもあてはまらない土地をいう。

 

いかがでしょう?

地目の意味を調べていくと、わからない言葉が出てきてまたそれを調べる。

そんな作業もありなかなか大変ですね。

日本語の表現の多さを痛感する次第です。

 

さて、これらの地目に分けられた土地を開発してゴルフ場にするとだいたいの地目が『雑種地』に変わる事になります。

要するにその土地の利用目的が変わる場合には地目変更が必要です。

地目変更の際には法務局への書類の提出が必要で、必要な書類は概ね以下の通り。

・土地地目変更登記申請書

・名義人の住民票や戸籍謄本

・農地転用の許可書、届出書(農地転用をする場合)

・現地地図

 

さてここで「農地転用」という言葉が出てきましたので、詳しく説明しておきましょう。

 

・『農地転用』

まず「農地」とは

「耕作の用に供されている土地」の事で、地目では『田』や『畑』の事を言います。

 

農地をそれ以外の目的で利用する場合には必ず都道県知事、農林水産大臣または地方農政局長からの許可が必要です。

手続きの窓口は地方自治体の『農業委員会』で、期間は約1か月前後。

申請時には農業委員会が配布している『許可申請書』に記入して提出する必要があります。

跡地の特定に関する書類『土地の全部事項証明書』『公図』『位置図』『案内図』などが必要です。

最後に費用ですが、個人の場合2,000円前後、司法書士に依頼する場合は50,000円~100,000円ほど必要です。

 

他にも『保安林』や『墓地』『宅地』など、地目変更の際にクリアしなければならない障壁があると思いますが、またその時に紹介していきたいと思います。

 

それでは、今日も素敵なゴルフライフを!

 

 

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