ゴルフ場パーフェクトサービスマニュアル

元ゴルフ場支配人の独り言

ここでは、ゴルフ場の「玄関番」「スタート室」「フロント」「レストラン」の4つのシーンにおいて高単価がとれる為のサービスマニュアルを記載しています。

これからのゴルフ場運営にとって重要なヒューマンスキルによるサービスの基本となるマニュアルを「もっとゴルフ!流」にまとめています。

ぜひ、一読いただき参考にしていただけましたら幸いです。

目次

サービス向上が重要な理由

まず、最初にこれからのゴルフ場においてこのサービスレベルが重要な理由について説明しておきます。

これからのゴルフ場業界はゴルファー人口の減少に伴い淘汰の時代に突入すると予測します。

事業として収益性を確保するための売り上げを作るために稼働と客単価が重要になるという話は以前いたしましたが、これからは稼働を追い求めては事業が立ち行かなくなると考えています。

ゴルフ場業界における現在と未来の需要と供給のバランスを考えると、ゴルフ人口の減少による需要の低下により供給過多に陥ることは容易に予測できます。

マーケティングに主軸を置いた低単価、高稼働によるオペレーションを続けているゴルフ場は衰退していき、より商品価値の高い本物志向のゴルフ場のみが生き残っていく時代になると考えています。

その、適正な稼働で高単価なオペレーションにより売り上げを構成していくためには商品の肝でもある「サービスレベル」を向上させることが重要となります。

ヒューマンスキルによるサービスの重要性

ここで、サービスについてもう少し掘り下げて考えてみましょう。

ゴルフ場におけるサービスとは大きく「コース」「施設」「人的サービス」と3つに分けられます。

これらの品質を向上させるために企業は「ヒト」「カネ」「モノ」最近はプラス「情報」といういわゆる経営資源を投資していくのですが、「コース」と「施設」に関しては比較的すぐに成果が見えます。

「施設」に関しては、一見するとカネをかけて綺麗になったと思いますが、それも一瞬であって、ゴルフ場で過ごす一日を考えるとゴルフファーからするとそれほどのインパクトは感じられず、企業側の自己満足でしかないケースが多いのです。

 実際に老朽化した施設の修繕は行わず、短期的に客単価アップを狙った表面のみをよく見せるだけのリノベーションを行っている企業もあるようで、その後、思ったように客単価がアップしたかというとそうではなく、変わらず稼働を追い求めないといけない状況だと聞かれます。

 「コース」に関しては、カネが70%ヒトが30%の割合で必要となると考えています。

いくらお金だけかけても、コース管理をするスタッフの意識レベルが向上しないと、作業効率も良くならず、「コース」に対しての情熱もない状況では良いコースは出来ないものです。

そして、この「コース」の仕上がり具合というのは「施設」よりもゴルファーにとってはインパクトの強いものであり、サービスレベルに対しての印象に大きく影響を及ぼします。

だって、お客様はゴルフを楽しみに来ているわけですから。

最後に「人的サービス」ですが、この品質を向上させるためにはカネが20%ヒトが80%の割合で必要となると考えています。

特徴として、この品質を向上させるためには時間がかかるという事、インパクトは一番大きいという事、人間により作られるものなので限界がないという事、品質は継承されていくものでそれが時代に合わせて進化するものでもあり、退化することもあるという事があげられるでしょう。

すなわち、これからのゴルフ場運営において、もっとも重要で効果的な戦術はヒューマンスキルによるサービスレベルの向上であると言えるのです。

もっとゴルフ!流 パーフェクトサービスマニュアル

ではどのような人的サービスが良いのかをゴルフ場内の4つのシーン(「玄関番」「スタート室」「フロント」「レストラン」)別に具体的に説明していきます。

玄関番

お迎え時

・名門といわれているゴルフ場には必ず玄関番が立っている。

・玄関番はお客様をお迎えする事が仕事であり、キャディバッグの積み下ろしや、荷物の運び屋ではないという意識を持つこと。

・玄関前でお客様の車が見えたら、所定の位置まで車をスムーズに誘導する。

・誘導の際には片手を斜めに上げて、車が近づいてきたら上げていない片方の手を回しながら車を所定の位置まで誘導する。

・車が停車したら上げた片手を下げながら会釈をする。

・ここで高級コースという印象が決まる。

・大きなジャスチャーと大きな声が相手に好印象を与える。

・一つ一つの行動には必ず声掛けをすること。

・運転手が下りてこない場合は運転席まで行って声掛けをする。

・声掛けの際には必ず質問形式で行う。「(例)キャディバッグを下ろしてもよろしいでしょうか?」

・質問して行動することで後に勝手にやられたなどのリスクを回避することにつながる。

・何事にもビッグジェスチャーが必要で「見せ方」が大切。

・説明を行うときには「わかっているだろう」という気持ちではなく、初めての人に対して教えるように丁寧に話すようにする。

・お客様から何か言われたら一度は前傾姿勢になろう。

・仕事になると作業化してしまうが、行動には常に気持ちを込めて丁寧に行う。

・混雑時には行動と発生は同時でもいい。絶対にしてはいけないのは「行動」してからの「発声」

・誘導していない他のスタッフは自分の一番かっこいい姿勢で立っている。

・男性は左右のかかとをくっつけて、こぶし一個分つま先を開く、お尻と背中と後頭部を同一線上にして、手は片手でこぶしを握り、もう一つのこぶしを開いた手で覆いかぶせるようにしてヘソの前に置き、背筋を伸ばして立つ。

・女性は左右のかかととつま先をくっつけて、お尻と背中と後頭部を同一線上にして、両手は親指のみを開き両方の親指の根っこをひっかけるようにして、ヘソの前に置き、背筋を伸ばして立つ。

・挨拶は声を出してからお辞儀するのが基本。

・素早く頭を下げてゆっくり上げると清楚なイメージを感じる。

・最初の一文字ははっきりと発音する。「おはようございます」の「お」

・相手との適切な距離は互いに手を伸ばしてつくくらいの距離。

・挨拶は必ず相手に正対して行う。

・挨拶の時には必ず一瞬でも頭を止めること。

・会釈の時の頭と背中とは一直線にする。

・アイコンタクトと笑顔には自分の事を受け入れているという意味合いがある。

帰りのバッグ渡し

・「おつかれさまでした」と丁寧に会釈する。

・「お持ち帰りですか?引換券はお持ちですか?」

・「お気をつけてお帰り下さいませ」

・「外にお出ししましょうか?」

・自分の行動を相手に評価してもらうためには話し方、聞き方が大切。

・必ず言葉を添えて会釈をする。

・定型文を3つくらい用意しておくとスムーズに言葉が出てくる。

・挨拶が浅いと2回するようになる。

・連続した行動ではなく、いったん切ることでテキパキ感が出る。

・お客様とすれ違う際には少しだけ距離をおいて正対して挨拶をするようにする。

スタート室周り

全体的

・スタート室周りでは応対力が必要とされる。

・ここでも主力は気持ちのいいあいさつ。

・「セルフプレーをセルフと思わせないようする」気持ちで行動する。

・相手の後ろを通過するときには必ず「後ろから失礼します」と一言声をかける。

・どんな時でも声をかけることで丁寧さが伝わる。

・動作にはメリハリをつける。

・話すときの語尾は伸ばさず、短く切る。

積み込み

・バッグを積みながらでも必ず相手の方を向いて挨拶をする。

・挨拶時に一言付け加えると好印象。

・サービスの現場では相手の目的を達成させる為の言動をする。

ハーフターン

・カートを止めるときは玄関番の誘導と同様に上げた片腕を下ろしながらお辞儀をする。

・外での作業は全般的に動作も発声も大きく行う。

・カートを担当しないスタッフも挨拶と声掛けは行うようにする。

・チームでお客様をアテンドしているというイメージを与えるためにビッグジェスチャーで行動する。

・お客様に自分に気づいていいてくれているという事を認識させる。

・会釈は素早く行う。

ホールアウト

・プレー終了直後のお客様は大変盛り上がっている、その中に自らも入っていくような雰囲気で接客を行う。

・こちらに気を向けさせるのがポイント。

・お客様との言葉のキャッチボールをする。

・一対一の接客接遇ではなく、その姿を周りがみているという意識をもって行動する。

・「お手すきになりましたらクラブ確認をお願いいたします。」

・大きな声で、相手に聞こえるように、かつせかされているとは思わせないように話しかける。

・自分自身の目的達成のためにも言葉は明確にはっきりと伝えるようにする。

・クラブ確認、清掃、バッグ下ろし、お見送りまで、すべての動作に声掛けを加えて相手に明確に伝わるようにすることが重要。

・事前に定型文をいくつかもっているとすんなり出てくる。

・決して相手の言葉に反論しない。

・相手の言葉を受け入れた事を伝える。

・その中で自分の目的も相手に正確に伝え、それを受け入れてもらえたら感謝の言葉を伝える。

・マニュアル言葉は動作で伝える。

・どんなに忙しい時でも一言は言葉をかけるようにする。

・サービスの観点と業務フローとの観点とは分けて考えるようにする。

・クレーム対応の前に伝えるべきことは伝えておくことがその後の交渉にも重要となる。

・どの現場でも安全は優先されるべき。

 

フロント

・人的サービスは「印象、表情、言葉使い、所作、みだしなみ、あいさつ」で決まる。

・挨拶のタイミングはお客様が数メートル近づいた時点で一回目を行う。このとき、相手に気づかれなくてもかまわない。

・会話は必ず相手に正対して話す、横向きに話すのは失礼。

・お客様に優越感を与えるのはヒューマンスキルでしかできない。

・一流のサービスはスタッフの質が一流。

チェックイン

・お客様が来場して初めて一対一でコミュニケーションをとるのはフロントが最初。

・署名簿に記載をお願いするときには「恐れ入ります」と一言付け加える。

・「おはようございます、こちらでお伺いいたします」

・行動をテキパキとし、相手を気持ちよくさせること。

・動作だけ出来ていても声掛けが出来ていないと接客接遇はできない。

チェックアウト

・「あいがとうございます、お気をつけてお帰り下さいませ」

・カウンター越しにものを渡すことは失礼なので、「大変失礼いたします」と一言添えて渡すようにする。

・声は聞こえるように大きくないと悪印象。

・ビジネスマナーとしての適切な言葉使いは自分で研究しておきたい。

・電話ではお客様を気遣うような話し方をする。

・やり取りの中では必ず復唱確認をする。

・挨拶も相手が感じが良いと思う挨拶をするように心がける。

・朝一はスタッフ同士笑顔になれるように声掛けをする。

 

レストラン

・身だしなみ、清潔感(爽やかさ、きちんとした着こなし)

・女性スタッフのサイドの髪が垂れているのはNG

・ヘアカラーは目だなない黒がのぞましい。

・お客様とのすれ違いさまは一旦とまり正対して挨拶をする。

・レストランはキャディの次にお客様との距離が近いサービスが行われる現場。

・声は相手に届いていないと意味がない。

・手の指はくっつけて手のひらを作るようにする。

・「空いている席へどうぞ」よりも「あちらの席があいていますのでどうぞ」の方が特別感はある。

・ゴルフ場レストランの席は「外観がよく見える位置が上座」

・上席者の方からメニューを渡す。

・配膳の際には必ず体の正面を向けてお皿を置くようにする。

・お客様との会話ではその言葉を受け入れて理解したことを返すようにすると安心する。

・「申し訳ございません」だけではなく「何」に対して「申し訳ない」のかをはっきりとさせて伝える。

・動作は連続させずに短く区切りながらするとテキパキ感がでる。

 

まとめ

ゴルフ場に来場するお客様の顧客心理

これは私がこれまで経験してきた中で、ゴルフ場に来場されるお客様がどんな事を期待して来場するのかをまとめたものです。

歓迎されるという期待

自分が一番でありたいと思う気持ちを満たされる期待

優越感を得られるという期待

独占できるという期待

得をした気分になれる期待

自分の存在価値が認められるという期待

 

ゴルフ場接客の5原則

挨拶

表情

言葉使い

姿勢・所作

身だしなみ

 

各セクションごとの応対ポイント

フロント

・明るく、礼儀正しいお出迎えとお見送り

・丁寧な動作、所作

・状況に合わせた適切な対応

・電話対応

マスター室&キャディ

・明るく元気な挨拶でのお出迎えとお見送り

・メリハリのある動作、テキパキとした動作

・プレー終了時の挨拶

・場面に応じた適切な対応

・クレーム対応

レストラン

・明るく元気な挨拶、お見送り

・テキパキとした対応とサービス

・イレギュラー対応

・特別なお客様への対応

 

いかがでしたか?

これさえできていたら、コースと施設に多少問題があってもお客様は気持ちよくゴルフ場を後にすることができると思います。

それだけ、ヒューマンスキルによる人的サービスはこれからのゴルフ場運営にとっては最重要課題であるということでしょう。

それでは今日も素敵なゴルフライフを!

 

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