ここではゴルフ場における生産性向上の取り組みについて考察した事を書いています。
近い将来、高い生産性を持つAIを含む技術の発達により私たちの労働は減少すると言われています。
ゴルフ場での話を例にしてAIがどのような場面で活用されるのかを予測してみたいと思います。
目次
【生産性向上の定義】
これまで生産性向上に対する取り組みに多くの時間を費やしてきた私の経験から現在行きついた結論として、生産性向上について定義付けしておきます。
『生産性向上』とは『ハイパフォーマーを増やす事』と『リソースを最適化する事』
※ここで言う「ハイパフォーマー」とは知能と体力を備えた人間だけではなく、AIを搭載したロボットの両方を言います。
※ここで言う「リソース」とは経営資源としてのヒト・カネ・モノの中で、ある活動に対してそのとき最も有効的なものを言います。
※本文では「人」と「ロボット」を総称して「ワーカー」と記載する事にします。
【ハイパフォーマーの定義】
次に「ハイパフォーマー」について定義付けしておきます。
『ハイパフォーマー』とは一定時間内に質の高い業務をトラブルなく多くこなせるワーカーの事。
※ここで言う「トラブル」とは何かしらの理由で業務が一時停止してしまう事を言います。
エキスパートとマルチワーカー
ゴルフ場に限らず、多くのワーカーが同じ職場で仕事をする環境においては、違う部署でそれぞれが異なる業務をしています。
一般的に新人社員は入社後ある部署に配属になり、その仕事を先輩社員から教わりスキルアップしていきます。
その部署での仕事とはいわゆる専門職であり、経験と共にどんどんレベルアップしていき、能力や習熟度に差が出てきて、競争原理の中で優秀なワーカーとしてエキスパートになるモノとそうでないものにわかれていきます。
ワーカーはそれだけをやって、あとの事は他部署に任せる、または引き継ぐというスムーズな連携によって、ひとつのマクロ的な仕事が完遂します。
そして、それぞれの部門のエキスパートが有機的につながる事で、一つのチームとして生産性高く質の高いサービスを提供する事を可能にするのです。
しかし、そこでは「正しい情報の伝達」が重要となってきますが、それにはミスがつきもので、情報化社会で価値観の多様化している今の時代では正確な情報伝達は以前よりも難しくなってきていると感じます。
この情報伝達によるミスが引き起こすトラブルというのは、すなわちワーカーに汎用性が乏しい事による弊害であるとも言えます。
そこで、一つの対策として、一人で関連する作業を連続して行う「マルチワーカー」という考え方があります。
マルチワーカーが増える事により、情報伝達の必要性が減り、それに伴うミスと時間的なロスを減らす事ができます。
一般的に「マルチワーカー」とは人員不足を解消させる、効率的なリソースの活用法として考えられています。
・一定時間当たりの仕事の量と質が高い
仕事量が大きい → マルチワーカー
仕事の質が高い → エキスパート
すなわち、エキスパートにマルチをこなす = ハイパフォーマー
➡このハイパフォーマーを増やす事が生産性を高める事になります。
先ずは、ワーカーごとに「エキスパート」なのか「マルチワーカー」なのか「どちらでもない」のか、そして、これからどれを目指していくのかを決めていく事が必要です。
効果的な使い方
(稼働が高い日)
高単価なお客様が多い日。
サービスの質を落とすことなく大量の仕事をこなす事を目的とする場合
エキスパートが有機的に連携しあって適正なワーカー数で行った方が、
エネルギーの消耗も少なく効率的でしょう。
(稼働が低い日)
お客様が少ない日
雨ロスなどの場合、安全確保が第一の優先事項となるので、
マルチワーカーによる少数オペレーションで良いでしょう。
【リソースの最適化】
次に生産性向上のカギとなるリソースの最適化=資源の分配について考えてみましょう。
ポイントは
どこにどれだけ「人間」を配置させるのか、どこにどれだけ「金」を使うのか、そして「物」がどれだけ人間に近づけるのか、または人間を超えるパフォーマンスを発揮するのか。
という事でしょうか。
私はこれまで「進歩」「進化」という概念は「人間」にしかなかったからだと考えていました。
学習をして成長するのは「人間」だけであり、そのための教育や育成のために企業は投資を続けて、それが結果に結びついている企業が勝ち組となっていきたと。
しかし、今は
「AI」自らが学習を行い成長していきます、それも休まず自学自習を行い、人間の成長と比べ物にならないほどのスピード感で発達していきます。
そんな「AI」に私たち「人間」は太刀打ちできるのでしょうか?
【人間とAIの評価】
さてここから、具体的にゴルフ場を例にしてワーカーとしての人間とAI、どちらが生産性を考えた時に合理的なのかを考察していきましょう。
集客営業
ゴルフ場はサービス業ではありますが、一般の企業活動としてお客様にたくさん来ていただき、たくさんお金をいただいて儲かる事を目指しています。
しかし、決まったホールの数、決まった日照時間、適正な昼の休憩時間等を考えますと、無限にお客様が入るというものでもありません。
すなわち、お客様を入れる上限は決まってしまうものです。
これは、ホテルや飛行機でお客様を運ぶ航空会社と同じで、一度に受け入れるお客さんの数に限りがある業種なのです。
そんな「繰り越しの出来ない在庫」を扱う商売ではレベニューマネジメントという営業的思想を用いて集客活動を行うゴルフ場が増えてきました。
レベニューマネジメント(RM)について
これは
「最適な商品を最適なお客様に最適な料金で最適なタイミングで販売する」時に売り上げは最大化する
という事を基本理念としています。
ゴルフ場での解釈では
・「お客様」とはプレーヤーの事であり、これを選別する事は今のデフレの中では現実的ではありません、せいぜいプラン名で「女性限定」とか「4名様限定」「60歳以上」などとセグメントするくらいです。
・「商品」とはゴルフ場ではコース、サービス、プレーバリエーション、レストランメニュー、ショップ商品等になります。
これらの商品価値を向上させる事は重要な事であり、企業活動としてリソースを投入していく事は当然な事です。
・「料金」と「タイミング」ですが、これらはインターネットを使い上手く最適化する事ができます。
過去の実績から未来の需要を予測してその日の最適と思われる料金を決めて、タイミングよくアナウンスする事で予約の進捗をあげる事ができます。
「お客様」もインターネットを利用する事で、向こうから最適なお客様が入ってくると考える事もできるでしょう。
すなわち、RMを運用する際に私たちはインターネットを最大活用しており、その利用比率が高ければ高いほど、効率よく集客活動を行う事が可能になるというものです。
では、この活動について、人間とAIとの違いを考察してみましょう。
「需要予測」をする事については、一見AIが優れているように感じます。
確かに精度とスピードいう観点では、ビッグデータをもとに分析評価するAIの予測には人間の記憶や記録ではかなわないように思われます。
しかし、予測して決断する段階には人間特有の「感覚」(その根拠をなくうまく説明できない感というもの)があります。
いまの段階では、AIにはこの感覚というものにおいてまだまだ足りないと感じられます。
この感覚というものも、担当者の経験値から身についてくるものです。
経験から得られる感とはただの数値分析のみに関わらず、当日のオペレーションやお客様とのコミュニケーションなどを通じて包括的にその日の「お客様、商品、料金、タイミング」が最適であったかを判断し記憶や印象として潜在的に脳にインプットされたものが、同じような状況において反射的にアウトプットさせるものです。
しかし、このような人間が長い間かけて身に着けたスキルもAIは短時間に身に着けてしまうという事も言われています。
将来的にはこの分野においては疲れを知らないAIが365日24時間連続してPDCA活動を繰り返し、すべての作業工程をおこなうようになると考えられます。
予約受付
今の予約はインターネットから自動的に社内の予約システムに連動して受付が完了するシステムと電話による受付の二つに大きく分かれています。
ゴルフ場のコアな顧客である高齢者にはインターネットを扱うことに慣れておらず、今でも電話でしか予約を入れられない方も多くいます。
しかし、そういう方もいずれゴルフも卒業するころになると、ほぼ100%がインターネットからの予約作業になるでしょう。
ネットでの予約は以前と比べると事務所にオペレーターがいなくても24時間予約が受け付けられるし、多くの情報を伝えることも可能で大変便利になりました。
しかし、予約を受け付ける作業に人的負荷がかからないようにする為には、まだまだ改善の余地はあるように感じます。
それは、どのサイトやシステムも予約という作業を「商品の選択」と「スタート枠を抑える」という事だけにフォーカスしているからでしょう。
これからは生産性向上を視野に入れた要求にこたえられるようにシステムを進化させる必要があるでしょう。
例えば、予約をする人はその組の代表者であり、1組で2名~4名のお客様名簿に対して、ゴルフ場は事前に代表者1名の情報しか入手する事は出来ません。
他の1名~3名はゴルフ場に来てから、本人から聞き出すことになります。
これを事前に全員分の個人情報をネットから入手できるようにすると、来場時のチェックイン作業が簡素化されます。
そして、コンペ等の内容も事前にネットから入力するようにして当日のやり取りを省きます。
また、この予約に関する情報を、ブロックチェーンを利用して関係者すべてに共有します。
※ブロックチェーンとは分散型管理台帳と呼ばれ、スマートコントラクト、トラストレスなどの特徴をもち、新時代のシステムとして期待されている。
この予約作業に関しては、今でもAIが80%以上を負担していると捉えることが出来るが、その汎用性をさらに広げる事で、当日のオペレーションに必要なマンパワーを軽減する事が可能になると考えられます。
来場時の手段
ゴルフ場ではいまお客様の車を止めるスペースが足りないという、駐車場問題があります。
これは、ゴルフ場を新規に開場したときよりも時代が変わり、一日の来場者数が増えたことによるものです。
厳密に言いますと、開場当時の見込んでいた来場者数と今の現実の来場者数とが違い、駐車場のキャパ自体に整合性がとれなくなっているのです。
加えてコロナ過の影響による乗り合いが減ってきていることも要因の一つです。
ゴルフ場の運営ではマクロな業界全体としてはデフレ傾向(ホール数が需要を超えている)にありますが、人気のあるゴルフ場になるとインフレ傾向(予約をお断りする事もある)にある場合もあるのです。
また同じゴルフ場でも日によっては需要が異なるので、デフレとインフレが混在することもあるのです。
そんな中で、この問題を解決して生産性を向上させるためにはどうしたらいいのか?
新しい土地を購入して駐車場を新たに作る事も戦略的な設備投資として有効化もしれませんが、前述の通り日によってデフレとインフレが混在する中で、ただ駐車場を増やしても無駄になる可能性が高いです。
そこで、AI搭載の自動運転の普及に期待をしたいところです。
自動運転の技術がレベル5に到達すると、完全にハンドルとアクセルに触れることなく運転が出来て、更に駐車場は近いところでなく離れていてもよく、呼べばそこまで自動で来るようになるそうです。
そうなれば駐車場を広げる必要はありません。
この問題は人間ではどうしようもない事をAIが解決できるという分野でもあります。
キャディバックの取り扱い
ゴルフは楽しくプレーだけをするところではありません。
自分の好きな道具を好きなバッグに入れてゴルフ場に運んで行って、カートに積み込まなければいけません。
そしてプレー終了後はまた、車のトランクまで運んで入れるという作業があります。
最近のシンプルサービス化(俗に言うポーターレス)によると、お客様は自身の車から玄関先のキャディバッグ置きに立てるまでをセルフでやる。
もしくは、自身で車からマスター室前までのキャディバック立てまでをセルフでやるゴルフ場もあります。
これはポーターさんが行うサービスなのですが、これは今のところマンパワーしかできない作業といえるでしょう。
ここで、消耗するものを「知能」と「体力」とに関連付けて仕事を分けるとしましょう。
1.「知能」だけで「体力」は必要としない仕事
2.「知能」と「体力」の両方が必要な仕事
3.「体力」だけで「知能」は必要としない仕事
4.「体力」も「知能」も必要としない仕事
仕事の質としては4番から1番にかけて出世という段階を経て変化していくように感じます。
仕事として4番は少ないでしょう、初めは誰しも3番から始めて2番、1番と進んでいきます。
そのうちに歳も取って体力が落ちていきますので、丁度バランスがとれているのでしょう。
これらを考えるとき「若いうちの苦労は買ってでもしろ」という言葉や、「儲けたければ金を出せ、金がなければ知恵を出せ、知恵が無ければ汗を出せ」という言葉を思い出します。
ポーター業務という職種は3番の代表的な職種といえます。
なぜなら、ポーターはいわゆる「セカンドキャリア」と呼ばれるワーカーが多く、異業種からの転職組で体力だけがあればできる仕事だからです。
少し、話がずれましたが、このポーターという職種は3番の「体力」だけで「知能」をあまり必要としない仕事と説明しましたが、これこそ、AIの進化が最も遅い段階で追いつく業種ではないだろうかと考えています。
AIやテクノロジーが人間の代わりをしようとしたら、先ず、脳から入ります。
私たちの知的活動を模倣してそれらを代行できるように進化します。
そしてその脳からの信号に従って行動を起こし、物理的現象を起こすためにはAI搭載のロボットが必要となります。
そのロボットの動きは知的活動よりもはるかに難解で複雑な要素を必要とするでしょう。
ですので、
この分野においてはAIが人間をこえるにはしばらく時間がかかるものと考えられます。
チェックイン
さて、車でゴルフ場まで来てキャディバックを預けたら、次はフロントへ行き、チェックインです。
最近は自動チェックイン機を設置するゴルフ場が増えてきましたが、どれも私の想像の足元にも及ばないスペックと言えます。
見ているとチェックイン作業の3割も代行できていない気がするのです。
現在導入している自動チェックイン機の多くは、ユーザーが会員カードやQRコードを読み取らせることで、アクセスできるものになっています。
それらを持たない人はフロントへ行き、署名カードに必要事項を記載して提出してチェックインとなります。
あるゴルフ場ではその自動チェックイン機の利用率は40%、更にチェックインした後に自分の必要な情報を入手するためにフロントに来てスタッフに話しかける人が1割、約半数の人が変わらずフロントスタッフの対応を必要とするのが現状です。
では、どうすれば利用率100%になるのでしょうか?
先ず、自動チェックイン機が会員カードやQRコードを読み取らせるだけの機能ではなく、タッチパネルで必要な情報を入力することでチェックインが出来るようにすることでしょう。
一人当たりの時間がかかりますが、これが先ずは第一点。
次に、事前にインターネットでの予約の段階である程度の情報を入力しておいて、当日は固有の番号を入力することでチェックインが完了するというシステムが望ましいでしょう。
そしてこれは今のところ最終系であると思われるのですが、Amazon Goをゴルフ場で採用する事でしょう。
コンビニやスーパーのように、本人と商品の両方を認識する必要がない分、ゴルフ場の方が技術的には容易ではないでしょうか?
必要な情報の入手(コース、レストラン、ショップ、プレー内容)
ここがサービス業の現場としては一番の肝いりというべきところです。
多くの人が集まる商業施設においては様々な情報伝達が行われています。
ゴルフ場でも例外ではなく、むしろ他の施設に比べて多い方だと考えます。
「今日の私のスタート時間は?」「どちらのコースからスタート?」「今日のコースのコンディションは?」「トイレはどこ?」「ロッカールームはどこ?」「練習場はどこ?」「昼食後のスタート時間は?」・・・などなど。
数えきれないほどのお客様が知りたい情報が交差します。
これらは、経験上パターンも見えてきてゴルフ場としてはそれらの質問が出てこないような工夫や対策をしていますが、人間だけの力ではなくなることは無いでしょう。
ここで登場するのが、
必要な情報全てをデバイス一つで入手する事でしょう。
その日の必要な情報をクラウド上に保管しておいて、知りたければそこにアクセスして入手する。
お客様は近くにいるスタッフに知りたい情報を訪ねます、尋ねられたスタッフの脳内にその情報があればその場で応えられるのですが、そうでない場合、だれかほかのスタッフに聞く事になります。
そして知っているスタッフも、その情報は誰かから伝達されたものか、システムにアクセスしてそこに情報があれば、それを引き出して伝えます。
であれば、だれでもそのシステムに入ることが出来て、必要な情報を入手する事が出来れば、その間の作業を省くことが出来るし、時間も節約できます。
ディズニーランドではキャスト(スタッフ)はゲスト(お客様)からの質問に対して、絶対にわかりませんとは応えてはいけないと教育されていると聞きます。
※サービス業に従事する者は一度はディズニーランドのオペレーションを参考に勉強していると思います。(参考記事:ディズニーから学ぶグルプレー中の待ち時間への対処法とは⁉)
それでも、何か情報を知りたいときに、そのキャストを探さなければいけない、仮に探せたとしてもキャストも完ぺき(この場合、必要な情報全てを知っていて、正確に伝える事が出来る)ではないので、キャストも知らない場合はその場で調べて伝える事になります。
何か知りたい情報があれば知っている人を探して、その人に尋ねる、この作業がデバイスを使ってシステムにアクセスするという行為になります。
そのデバイスとして一番に活用しやすいものは携帯電話でしょう。
その名の通り、今はほとんどの人が携帯電話を常に携帯している世の中ですから、これを使わない手はないでしょう。
携帯電話の次のデバイスも研究されているようで、例えば眼鏡や腕時計などが対象になっています、さらにはデバイスそのものを体の一部に埋め込める技術も研究されているようです。
カートの運転
カートは自動運転技術をフルに活用できるものです。
ゴルフ場でのカートの利用は今のところ「重たいキャディバックを積んで移動する」、「行きたいところまで乗って楽にいける」の二つです。
これだけでも、以前の手引きカートによる歩いてプレーするという時代からすると進歩していますし、それで高齢者のゴルファーも増えてきました。
お客様にとっては便利になった反面、ゴルフ場にとっては作業が増えました。
カートのメンテナンス、日々の清掃、ガソリン補充や充電、カート庫への収納、など。
カートという一つのアイテムを導入したことにより、お客様の利便性は向上しましたがゴルフ場の作業負担は増えたと言えるでしょう。
カートの自動運転技術は、お客様の利便性と生産性の二つを向上させることが可能だと考えられます。
AIを搭載した自動運転カートはお客様の打ったボールのところまで自動で案内します、そして、ターゲットまでの残りヤーデージや風向き、ターゲットエリアの表面状態やプレーヤーの番手ごとの飛距離から推定して、どのクラブを使ってどの方向にどれくらいでショットするのがベストなのかを判断してアドバイスします。
すなわち、
「カートがキャディさんの代わりをする」時代になるでしょう。
私がこの業界に入ったばかりのころは乗用カートが普及し始め、ファウェイ乗り入れが出来るようになったばかりの時代でした。
その頃はまだ、キャディさんが多く在籍していたのですが、カートの利便性が高まるのと共にキャディ付きプレーの需要は少なくなってきました。
今のプレーヤーがキャディさんに求める事は「カートを運転してくれる」「ボールがどこに行ったか判断できない」「クラブを持ってきてくれる」「グリーンの目を呼んでくれる」「プレー中の会話を楽しみたい」などです。
AI搭載の自動運転カートはこれらすべてを可能にすることでしょう。
さて、次にゴルフ場における生産性についてのメリットについて説明します。
まず、お客様のスタートに合わせてカートを配車しなければいけません、これもカート自らスタートホール近くに自動で移動します。
給油や洗浄も自ら専用の自動給油機や自動洗浄機を通過して完了させます。
メンテナンスも悪いところを自ら判断し、アラートを出すことで違う技術で補填する。
これによりカートの管理に携わる人間の労働は大幅に簡素化されることでしょう。
快適なセルフプレー
これも自動運転カートによって実現される現象でありますが、カートとキャディ業務をAIが代行すると言い換えることもできるでしょう。
お客様にとっての「セルフプレー」とは、サービスを受けずに自らすることを意味しますが、どうでしょう、これまでのサービスを人間からAIに代わる、しかも正確性とスピードは人間よりも高い質で提供されるサービスを受けるのです。
ゴルフ場で受けるお客様からのクレームには大きく2つに分けられます。
スタッフのミスによるものとそうでないものです。
機械にもバグというものがあり、これが人間に例えるミスになります、しかし、人間に比べるとミスははるかに少ないと考えられます。
単調な作業であればあるほど、ミスなく連続して長時間作業できるのは機械の方だといえるでしょう。
機械化することでお客様は今より快適なセルフプレーをすることが可能になると考えます。
ルール エチケット マナー
さて、これは人間的な振る舞いともいうべき分野でしょう。
私はこのもっとゴルフ!で目標としている全てのゴルファーに
「ルール」を知り「マナー」を学び「エチケット」を身に着ける
と言い続けています。
※詳しくはこちらを参照してください。
「エチケット」は他者に対する思いやりの気持ちが表に現れたものですから、自分の内面からそのような人格を形成するように日ごろから意識していけばいいと思います。
ここでは特に「ルール」「マナー」について考えてみましょう。
「ルール」「マナー」は外からインプットしなければいけない知識となります。
特に競技の時にはこれを覚えておかないと痛い目にあうことがあります。
プレーするのは人間ですから、知識は知らないこともあるし、忘れてしまうこともあります、そして時には知っていてそれを破る時もあります。
そんな時、注視してくれるものがあると違反は起きないでしょう。
ここで、先ほどチェックインのときに言いましたAmazon Goの事を思い出してみてください。
これはお店の中に無数のセンサーがあり、人と商品とを識別して購買活動を無人で完了させるシステムなのですが、ゴルフ場も場内にこれと同じようなものを設置して、プレーヤーのプレーをAIが監視するのです。
知識をインプットしてそれをアウトプットする作業はAIの最も得意とする分野であるので、競技の際に何かあったときに分厚いルールブックで確認したり同伴競技者からの聴取をしたりしなくてもその場で違反行為があれば警告が出るというものです。
その他、ブロックチェーンという技術を使い、その場でスコアを申告するやり方に変えると競技終了時のスコアのアテストも必要がなくなるでしょう。
すなわち競技委員が必要なくなるのです。
レストランオペレーション
ゴルフ場のレストランは個室ではなくフードコートのような一つのエリアに複数のテーブルがあり、そこでお客様が食事を楽しみます。
メニューや味についてはここでは省いて、オペレーションだけにフォーカスして考えますと、「オーダーミス」や「提供時間が遅い」「スタッフに声をかけたくても忙しそうでなかなかつかまらない」そしてコロナ禍の今は特に「感染予防対策」ではないでしょうか。
オーダーミスとスタッフがつかまらない事に対しては自動オーダリングシステムの導入でクリアできます。
提供時間もAIによる売れ筋のメニューの出数をあらかじめ予測しておいて調理場の体制を整えることで効率よく対処できるでしょう。
感染対策も配膳ロボットの活躍でクリアできます。
私たちの口の中に入れるものを扱うのですから、衛生面と安全面を担保するのは一番の重要事項ですが、その辺を機械化するときにどのように担保するかを研究する必要はあるでしょう。
コンペパーティー
今はコロナ過でしばらく自粛していますが、終息したらまた盛り上がることでしょう。
コンペパーティーはゴルフプレーが終了してからお風呂等を済ませて、みんなが集まって始まります。
始まる時間が遅く、夕方にかかるためレストランスタッフの残業が発生する事が多くなります。
また、お客様の動きが読めない為、いつ始まるのか?いつ終わるのか?がわかりにくく、それに合わせてこちら側が動く必要があります。
つまり業務効率がとても悪いのです。
サービス業に限らず、お客様商売はお客様を気持ちよくする業種であるので、こちらがお客様の動きに合わせて動く事は最低条件となるのです。
こちらも先ほどのレストランホール、厨房内のオペレーションと同様、AI搭載のロボットが活躍するフィールドといえるでしょう。
自動オーダリングシステムにより、お客様の発注が発生すれば必要なものを提供し、配膳はロボットが行う、これにより「待ち」という大切な時間を削減できるのです。
すなわち、発注が行われ、パーティーが開始して初めてシステムが作動して、最後までお客様をアテンドする。
お客様の動きに合わせて必要な時に必要な行動をお客様の為にサービス出来る、これは人間にも出来る事ですが、AIの方が無駄なく実行する事が可能なのです。
チェックアウト
さて、ゴルフ場でお客様にサービスを行う最終場面になります。
必要な事は、利用した代金を間違いなく計算して請求して、過不足なくお支払いいただくことです。
よくありがちなのが、「えっ、私はビールなんて飲んでないけど」「あれっ、自分はメンバーなのにビジター扱いになっているよ」「今日は〇〇のプランでプレーしたのに、料金が違うみたいだよ」といういわゆるミスが起きた時の事です。
AIならこのようなミスはまずないでしょう。
そして、何度か出てきたAmazon Goなら、チェックイン作業自体が自動で行われ、お客様は何もせずにゴルフ場を出ていきます。
その際には、電子マネーで自動決済、キャッシュレスでお客様は快適に、ゴルフ場側は業務効率化が図れます。
【最後に】
いかがでしょうか?
正直私はこれまで、人間の方がAIよりも絶対に優れている、絶対に追いつかれることはないと考えてきました。
それは、人間は進化するものだからです、自ら学習し経験し成長します、状況に応じて柔軟に対応を変化させることが出来る存在だからです。
ですが、AIの事を知れば知るほど、人間が優位にたっている事が見つけにくくなってきます。
そして、結論的には一度インプットした情報を永久に忘れることなくいつでも正確にアウトプットできる、動力さえ確保できれば24時間365日休まず働き続ける事が出来る、感情がないので怒ることもなく、反抗する事もないAIの方がワーカーとしては優秀ではないかと思うようになったのです。
いまこうしている間にも、AIは進化を続けており、いつか「シンギュラリティ」「知能爆発」「ブレイクスルー」が起こると言われています。
そして、それは私たちが気づかないうちに、私たちの想像を超える事が起こると言われています。
楽しみですね。
それでは今日も素敵なゴルフライフを!
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